税金滞納は危険!大切な財産や住宅を差し押さえから守る方法を紹介

「教育の義務、勤労の義務、納税の義務」と国民の3大義務に表されるように、税金はたとえ自己破産したとしても収めなければならない義務です。

税金を滞納してしまうことにはどのような危険が潜んでいるのでしょうか。
本記事では、税金滞納の危険性と滞納を未然に防ぐ方法、滞納してしまった場合の対処法を紹介していきます。

特に住宅ローンを組んで自宅を所有している方は、滞納時の危険が多いので注意しましょう。

税金を滞納するとどうなってしまうのか?

税金滞納時の危険性を理解するには、どのようなことが起こってしまうのかを知ることが重要です。

税金の滞納が進むと最終的には大半の財産を差押えられてしまいます。
差押えられた財産は、その後も税金の納付がない場合に換価され、税金の支払いに充てられることとなります。 所有している自宅に関しても同様で差押えの登記がなされ、差押え後の不動産売却に制限がかかるようになってしまいます。

税金は国税と地方税の2種類

【国税】
所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、酒税、たばこ税、自動車重量税など
国税の中でも滞納されることが多いのが消費税と所得税です。

【地方税】
住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、自動車税など
地方税の中でも滞納されることが多いのが住民税と固定資産税です。

次に税金を滞納してから差押えられるまでの流れを見てみましょう。

税金を滞納してから差し押さえまでの流れ

税金の滞納から差押えまでは以下の流れで進行していきます。
ひとつずつみていきましょう。

  1. 税金滞納
  2. 督促状
  3. 催告書
  4. 財産調査
  5. 差押え
  6. 換価

税金滞納

税金の納付期限を1日でも過ぎると滞納したことになり、延滞金が加算されていきます。 延滞金は完納するまでの期間加算されつづけ、滞納が数年におよぶと滞納金を超える事態になりかねません。

延滞税は厳密には国税の滞納時に「延滞税」地方税の滞納時に「延滞金」とその呼び方が異なり、これら延滞税(金)の加算料率は課税主体となる国や地方自治体、税金の種類にもよって変わってきます。

督促状

納期限を過ぎると行政からの督促状が送られてきます。
督促状は、滞納した税金の支払いを促すために送られます。内容は具体的な滞納金額や滞納期間、支払い期限が記載されており、滞納による延滞税(金)も含まれます。

国や地方自治体は、税金の滞納によって財政への影響を受けることから、滞納者に対して迅速かつ明確な情報を提供し、滞納金の早期回収を図ることを目的としています。

もし支払いが困難な場合は、滞納者自身が行政と連絡を取り、相談や支払いの延長手続きを行うことが大切です。
国や地方自治体は、税金の支払う意思のある滞納者に対しては事情に応じて柔軟に対応する場合もあります。

法律上、督促状を発送した日を起算日として10日以内に完納されない場合は滞納者の財産を差し押さえてもよいこととなっているので注意しましょう。

催告書

差し押さえの前準備として催告書が送られてきます。場合によっては電話や訪問によることもあります。
その内容は、差押手続きを進めていることを伝える旨と税金の支払いを求める旨がほとんどです。

催告書は法律上定められた手続きではないため、行政によっては催告書による連絡なしで差し押さえに移行することもあります。

財産調査

催告書による通達も無視し滞納を続けていると財産調査が始まります。

財産調査とは、行政が滞納者の所得や資産状況を調査する手続きです。目的は、滞納した税金の回収が見込める差押財産の選別と隠蔽行為の有無を確認することです。

調査対象は金融機関や勤務先に加えて、取引先、官公庁、自身の財産を預かっている第三者にまでおよびます。
税金滞納による差押えは裁判所の令状を必要としないため、財産調査も同様に本人の同意や令状なしで進められるのです。

財産調査が執行されると、個人の財産情報や所得情報が行政に開示されることになります。
また調査対象の元へ連絡がいくため、自身の状況が外部に露見することとなります。

差押え

財産調査の結果、換価可能と判断された財産が差し押さえられます 。
差押えの対象となるのは不動産・動産(自動車や建具など)・債権(給与や預金など)とさまざまです。

給与を差押える場合は、完納までのあいだ給与全額が返済に充てられると債務者の生活が厳しくなるため、一定の条件のもと差押えることとなります。

手取り月収が44万円以下  :手取り給料の4分の1まで
手取り月収が44万円を超える:手取り給料から33万円を差し引いた額まで

住宅ローンを組んでいる方で、差押え時に受ける影響でもっとも深刻なことが、住宅ローンの契約条項です。
住宅ローンの契約条項には預金口座の差押えがされたときは期限の利益を喪失する旨の条項が含まれている場合もあります。該当すると、住宅ローンを分割で支払ってもよい権利がなくなり、一括返済を求められます。
税金の滞納が発端となり、さらに状況が悪化してしまうのです。

税金滞納を未然に防ぐには

税金滞納の危険性が分かったところで、次に滞納を未然に防ぐ方法を紹介したいと思います。

対策方法は下記の4通りあります。

  1. お金の優先順位を明確にする
  2. 税金関連の書類には必ず目を通す
  3. 一括納付(前払い)
  4. 口座振替とクレジットカード納付

お金の優先順位を明確にする

通常、生活するうえで税金の支払いに優先度をつけている人はそれほど多くないと思いますが、生活資金の次に大事な支出だと理解することが重要です。

税金滞納時の危険性でもふれた通り、納税は任意整理や自己破産をしたとしても免除されることはありません。
あらかじめ、生活資金と同様に重要な支出だと認識できていると、家計が苦しくなったときにも税金の支払いを他の支出より優先できるようになります。

税金関連の書類には必ず目を通す

税金を滞納してしまう理由のひとつに「納付書に気づいていなかった」ケースがあります。

納税者本人が見落としている場合もあれば、病気やケガなどで入院中に納付書が届いているものの気づけなった場合などがあり、そのまま督促状も気づけずに差押えが入ってしまう危険もあります。
自身が納付書を見逃さないようにするのはもちろんのこと、確認ができないような状況になってしまった場合には、ご家族や親族など身近な人に留守中の郵送物についてお願いしておくことが大切です。

一括納付(前払い)

納税を忘れていた場合や経済状況の悪化で納税ができないなどの対策として有効なのが、税金の一括納付(前払い)です。
生活に余裕があるときに前もって税金を納めておくことで、滞納のリスクを回避することができます。

口座振替とクレジットカード納付

納税忘れと滞納の防止策として、一括納付以外でもっとも有効な方法です。 税金の支払いが自動的になるため、納税漏れがありません。

またクレジットカード納付の場合はクレジットカードのサービスで、支払い後に分割払いに変更することができます。 行政にはクレジットカード会社が一括で支払いを済ませているので延滞していることにはなりません。

注意点としては、分割払いの回数や期間によって手数料がかかりますので、あらかじめクレジットカード会社のWEBサイトから確認しておくとよいでしょう。

税金滞納をしたときの対処法

税金を滞納してしまった場合の危険性や未然の防止策がわかっていたとしても、税金滞納が避けられなかったという場合もあります。
滞納が続くと、督促状の送付に始まり催告書、差し押さえへとフェーズが移行していきます。
ここからは、税金を滞納してしまった場合にどうしたらよいか、その対処法を紹介します。

分割納付

まずは行政に支払う意思を伝えることが重要です。どのようなフェーズであっても支払う意思を示すことによって行政側が相談に応じてくれるようにしなければなりません。

滞納後のもっとも円満な解決方法は分割納付です。
すでにある程度の滞納がある状態ではありますが、どれくらいなら分割で納税できるのかを相談しましょう。

納付猶予

税金を支払うことができなくなった理由によっては、納付猶予を認めてもらえる場合があります。
具体的には以下のいずれかの条件に該当する方となります。

  • 自然災害や人災、盗難の被害によって経済状況が悪化した場合
  • 納税者または生計を共にする親族などが病気や怪我を負った場合
  • 事業を廃止または休止した場合
  • 事業による損失が著しい場合
  • その他上記1~4に類似する状況にある場合

納付猶予の申請を行うときは原則として、滞納額に相当する担保を提供する必要があります。
例:債権、有価証券、不動産、その他行政が認めるもの

しかし、以下のいずれかに該当する場合は担保提供の必要がありません。

  • 納付猶予を申請する滞納額が100万円以内の場合
  • 納付猶予を受ける期間が3カ月以内の場合(担保提供時は通常1年間)
  • 担保の提供ができない事情がある場合

納付猶予を認めてもらうためには、自身の状況を証明する書類などがあると有利です。 収入証明や収支状況が分かる書類、申請条件に適合すると判断できる書類などです。

納付猶予の申請条件や必要書類などは行政(都道府県および市区町村)ごとに細かな要件が異なりますので、あらかじめ相談窓口に確認しておくと安心です。

不動産を所有されている方へ

行政から不動産の差押えをされ公売にかけられた不動産は、市場価格の50~70%程度の価格で落札されることとなります。
数千万円もする不動産の取引においてこの価格差は大変な痛手です。ほとんどのケースで数百万円を損してしまいます。

とはいえ、行政が税金回収のための公売をやめることはありません。損をしないためにはどのようにしたらよいのでしょうか。

公売を避けるための任意売却とリースバックについて紹介していきましょう。

任意売却とは

競売や公売など、債権者が債権の回収を目的として不動産売却の強制執行をおこしてきた場合に、債権者と交渉し許可を得たうえで、市場価格で不動産を売却する方法のことです。

競売または公売で不動産が売却されると市場価格の50~70%でしか落札されず、不動産所有者の利益が著しく損なわれてしまいます。
任意売却は市場価格で不動産を売却するため、良い取引ができれば不動産売却後の代金から債権者に返済をし、残った代金が利益として手元に残ります。

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リースバックとは

リースバックとは、不動産を売却と賃貸契約を同時に行うことによって、自宅に住み続けられる方法のことです。

自宅の所有者ではなくなってしまうものの、住み慣れた家に住み続けることができるうえに、引越しにかかる費用が必要ない点などがメリットとしてあげられます。
競売や公売を避け、債務を返済しつつも生活環境が変わらない点が特徴です。

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まとめ

税金を滞納した場合の危険性と未然の防止策、滞納後の対処法を紹介してきました。

税金の滞納は、生活状況の変化によって誰もが直面する可能性ある出来事です。
本記事を読んでいただいたことで、万が一自身が当事者になったとしても冷静に対処することができるようになっていただければ嬉しく思います。

また、不動産を所有されている方が競売や公売によって不動産を処分されてしまうと、損失がとても大きくなってしまいます。

任意売却ヘルプセンターでは、任意売却専門の相談員がご相談者さまの状況に合わせた解決策をご提案させていただいております。
大切なご自宅や不動産を適正な価格で売却し、債務および滞納が解消されるよう債権者交渉も得意としておりますので、お困りの場合はぜひ一度ご相談ください。

記事の執筆者

長井一記
長井一記 / 任意売却ヘルプセンター センター長

少年期に経験した競売と、不動産業界にて数多くの不動産売買に従事した経験から、少しでも多くの方を競売から救うことのできる「任意売却ヘルプセンター」を設立。
ご相談者さまに寄り添い、任意売却・リースバック・その他の解決手段で競売回避を実現します。

趣味:登山/ジム/地域ボランティア

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