競売物件の価格が安くなる2大要因を解説!任意売却で回避する方法も紹介
競売開始決定通知書が届き競売に向けて動き出すと、ほとんどの場合で債務者が介入することはできません。
介入ができないということは、不動産を高く売るための対応や努力もできないということです。
そして安く落札されてしまったらその分債務が多く残り、生活再建も難しくなります。
今回は競売になったとき、価格はどのような要素で決まるのか、そしてなぜ競売になると売却価格が安くなると言われているのか、その要因を解説していきたいと思います。
不動産競売とは
不動産競売とは、債務者の債務不履行が続き債権の回収ができない場合に、債権者が実行する債権回収手段です。
不動産競売には2通りがあり、抵当権の実行によるものを担保不動産競売、債務名義の取得が伴うものを強制競売と呼びます。
この2つの競売は債権者が競売を申し立てるまでの過程は異なりますが、そのあとの流れはどちらも変わりありません。
競売物件が安くなる要因1:売却基準価額が低い
売却基準価額とは、裁判所が定める「競売落札価格の基準となる指標」のことです。
現況調査の結果として作成される資料を基に土地、建物の評価を分析したうえで決定されます。
また決定の際には競売であるという特殊性が考慮されるため、最終的な売却基準価額は市場価格の約50~70%に落ち着くことが多いです。
なお、買受可能価額(最低入札額)はさらに低く、売却基準価額の約80%となります。
このため最安値だと市場価格の約56%で落札される可能性があるのです。
現況調査とは?
現況調査とは、売却基準価額の決定に必要な情報をまとめるために実施される、物件調査のことです。
裁判所から派遣される執行官と不動産鑑定士が2人1組で実施することが多く、外観や内観の撮影、居住者への質疑応答などが行われます。
現況調査にて得られた情報や資料、撮影した写真は資料にまとめられ、最終的には3点セットとして公告されます。
3点セットとは?
現況調査の結果をまとめた資料のことです。
現況調査報告書を執行官が作成し、不動産評価書を不動産鑑定士が作成します。
さらにこの2つの資料を基に売却基準価額や買受可能価額を加えた物件明細書を書記官が作成します。
競売物件が安くなる要因2:購入者のリスクが高い
競売の特殊性が考慮された結果、売却基準価額は低くなります。
その特殊性に代表されるのが、購入リスクが高いという点です。
ここからは競売物件に潜む購入リスクについて購入者の視点からみていきましょう。
契約不適合責任が適用されない
一般的な不動産売買においては、売主が買主に対して契約不適合責任を負います。
契約不適合責任とは簡単に言えば「取引物の種類や品質、数量が契約内容と適合しない場合、その補修や改善または減額や契約の解除などが出来る」ことを指します。
たとえば、水道管から漏水しているにも関わらず、それを問題ない状態(漏水していない)として不動産売買契約を締結し、その後に発覚した場合、売主の故意か過失かに関わらず契約不適合責任を追及されることになります。
一方、競売物件には契約不適合責任がほとんど適用されません。
競売は債務者の都合は関係なく、強制的に売却が進んでいきます。またこのとき債務者の位置付けとしては売主ではないため、契約不適合責任を追及される立場にないのです。
限られた情報で購入判断が必要
競売物件は、購入を検討する段階ではまだ債務者が居住しています。
そのため、室内がキレイなのか、購入後の修繕にはどれくらい費用がかかりそうなのかといった情報は3点セットでしか判断をすることができません。
実際の室内を確認することができないなかで、数千万円もする不動産の購入判断をすることはとても大きなリスクだと言えるでしょう。
不法占拠される可能性
居住している債務者は追い込まれた状態で自暴自棄になっていることも多く、不動産を落札し購入したとしても、不法占拠される場合があります。
不法占拠されている期間は当然ながら不動産を使用することができませんから、購入者にとっては機会損失の不利益が生じることとなります。
最終的には裁判所へ強制執行の申し立てをし、強制退去していただくことになりますが、強制退去で動員する運送業者や鍵屋などの費用は発生します。
このように、競売物件を購入するにはあらゆることを想定し、それを価格に織り込む必要があるのです。
想定する費用が多ければ多いほど、その結果として競売物件の価格が低くなっていきます。
競売で売却されるとどうなるのか?
競売で不動産が売却されると、売却価格が安くなってしまうことが分かりました。
ですが、競売にはそれ以外にも影響やデメリットがあることを知っておく必要があります。
競売に詳しくなればなるほど、適切な対応策が考えられるようになります。
競売のデメリット
競売最大のデメリットは売却価格が低くなってしまうことですが、他に2つの大きなデメリットがあります。
ひとつは、債務の総額が増えることです。
競売になっている状況は住宅ローンや消費者金融など借金の滞納が続いている状況ともいえます。
滞納している間は遅延損害金が年利14.6~20%で加算されていきますので、滞納期間が長くなるほど数百万円単位で債務が増えていきます。
このような状態になってしまっては、競売で不動産を売却し返済に充てたとしてもまだ多額の債務が残り続けてしまうでしょう。
もうひとつは、競売になった事実が公告されることです。
先ほど解説した3点セットは、裁判所館内と不動産競売物件情報サイト(通称:BIT)で公告されるため、誰でも物件情報を閲覧することができるようになっています。
また、現況調査の際や公告後には不動産会社が物件周辺を視察しにくるため、普段見慣れない人の出入りが多くなります。
そうすると近隣住民や周辺の人が違和感を覚えはじめ、いずれ競売の事実を知ることになるでしょう。
紹介した2つ以外にも競売のデメリットはまだあります。
競売のメリットとデメリットについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
参考記事:競売にはメリットがないって本当?デメリットと一緒に徹底比較!
競売回避は任意売却で
任意売却とは、債権者と交渉することで通常外すことのできない抵当権を外してもらい、競売ではなく一般市場で不動産を売却することです。
一般市場で売却できるということは、競売の特殊性を考慮する必要がないため、市場価格での売却が期待できます。
加えて、任意売却には多くのメリットが存在します。
任意売却のメリット
任意売却は債権者交渉が可能であることが最大の特徴で、その特徴を活かしたメリットは市場価格で売却ができること以外にも数多くあります。
ここでは任意売却にあるメリット10のうち、市場価格での売却を除いた最も代表的な2つを紹介します。
債務の総額が増えない
競売になると避けることのできない遅延損害金と競売申立費用は、任意売却では免除または減額ができる可能性が高いです。
どこまで債権者に譲歩いただけるかは任意売却を依頼する不動産会社の力量によるところが大きいですが、任意売却を依頼しないことには交渉そのものをすることもできません。
残った債務の返済交渉ができる
任意売却で競売より高値で売却ができたとしても、借金の完済に至らない場合は債務が残ることとなります。
ですが、不動産という大きな資産を売却したあとの債務者には返済に充てられる資力は残っていないことが多く、これまで通りの返済を続けるのは難しいでしょう。
このようなときも任意売却であれば、あらかじめ残った債務の返済方法についても交渉をすることができます。
債務者の生活再建が立ち行かないことがないように、返済金額も5,000~30,000円の範囲で交渉に応じてもらえるケースが多いです。
任意売却にあるすべてのメリットを解説した記事はこちらからご覧いただけます。
関連記事:任意売却のメリット10選!任意売却を選ぶべき理由がすべて分かる
まとめ
競売の価格が安くなる2大要因を紹介してきました。
ひとつめの要因である売却基準価額が低いことは、競売の特殊性を織り込んだ結果でしたが、その特殊性のなかでも購入者のリスクが高い点が2つ目の要因でしたね。
競売の価格が安くなると不動産売却後も多額の債務が残りやすく、債務者の生活再建にも大きな影響をおよぼしてしまいます。
ほとんどメリットのない競売はできる限り避ける必要があります。
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競売の理由が住宅ローンの滞納によるものから、マンション管理費滞納によるもの、税金によるもの等々、それぞれ違う債権者との交渉も安心してお任せください。
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