固定資産税滞納中でも任意売却できる?他3つの対処方法を紹介!
税金の中でも自宅や投資用マンションなど、不動産を所有されている方にのみかかるのが固定資産税です。
本記事では固定資産税を滞納してしまうとどのような事態になってしまうのか?未然に防ぐ方法、滞納後の対処法などを紹介していきます。
すでに固定資産税を滞納してしまっている方も、今後滞納の危機が迫っている方も、滞納時の流れとリスクを認識することで対処できるようになりますので、ぜひご覧ください。
固定資産税とは?
固定資産税とは地方税のひとつで、土地(住宅用地・山林・田畑など)と家屋(戸建て、区分マンションなど)に対して課税される税金です。
投資用マンションやオフィスビルなどの事業で使用する償却資産に対しても同様に課税されます。
毎年1月1日時点の所有者に対して納税通知書が送付され、税金にしてはめずらしく3回~4回に分けて納めるのが一般的です。
市街化区域内は都市計画税も課税される
都市計画で定められている市街化区域内に土地や家屋を所有している人は、都市計画税の納税義務が生じます。
市街化区域とは、「都市計画区域」のひとつであり「すでに市街地を形成している区域」と「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」を指します。
また都市計画税は、道路や公園、学校などの公共施設の整備や維持管理、緑地の確保、都市の景観や環境の改善などに活用されます。
固定資産税を滞納するとどうなる?
固定資産税を滞納するとまず、督促状にて支払いを促す案内が届くようになります。
それでも納付せずに滞納を続けていると、最終的には所有されている財産を差し押さえらえることになります。
ここからは滞納時の流れについて、みていきましょう。
固定資産税を滞納したときの流れ
滞納
納付日を過ぎたときから延滞金が加算され始めます。
期限を過ぎたあとも納付書による支払いは可能です。後日、延滞金についての納付書が届きます。
督促状
納付期限が過ぎてから2週間が経過するころ、督促状が滞納者の住所宛に郵送され始めます。
気を付けるべきポイントとして「督促状を発してから10日以内に滞納が解消されない場合は、財産を差し押さえなければならない」と法律で定められているため、10日経過後はいつ財産を差し押さえられても不思議ではない状態となります。
催告書
地方自治体によりますが、急に財産を差し押さえるのではなく、最後通告として催告書を送ってくるところもあります。
しかし、財産を差し押さえるうえで必要な手続きではないため必ず催告書が送られてくるわけではありません。
財産調査
督促状(または催告書)による連絡を無視していると、差し押さえのための財産調査が実施されます。
財産調査は差し押さえられる財産がどこにどの程度あるのかを調査するためのものです。
そのため、調査先は金融機関や勤務先、事業主の場合は取引先も含まれ、場合によっては親族までが調査対象となります。
こうなると、税金を滞納してしまい差押えの調査をされていることが周囲にも知れ渡ってしまい、自身の信用力低下を招いてしまいます。
差押え
財産調査の結果、差し押さえるべき財産が決定すると、強制執行(財産差押え)が実施されます。
税金滞納による強制執行は裁判所の令状を必要としないため、想像よりも早いスピードで行われます。
よく差押えられる財産は、預金口座や給与債権、不動産、貴金属などです。事業主の場合は、売掛債権も差押え対象となります。
公売(換価)
差押えにより没収された財産は、公売により換価されます。
換価された金額が滞納額に満たない場合は、引き続き支払い義務が残ります。
不動産や貴金属は一度換価されると終了ですが、給与債権の場合は完納するまで、給与の一部が納税に充てられます。
“公売とは国や地方自治体が主体となって行う、税金回収のためのオークションによる売却のことです。”
固定資産税の滞納を防ぐ方法
財産を差し押さえられないためにも、固定資産税をしっかりと支払うことが肝要です。
とはいえ、固定資産税の金額は大きいため、支払計画を立てないと、いざというときに滞納する可能性が高まってしまいます。
では、滞納を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
すぐに検討できる対策を3つ紹介します。
一括納付
地方自治体から送付される納税通知書は「一括納付書、第1期納付書、第2期納付書、第3期納付書、第4期納付書」の5枚で構成されていることが多く、一括払いにするか、または分割払いにするかを選択することができるようになっています。
分割納付には、一回の支払金額が低く済むというメリットがある一方で、支払い漏れが生じやすい、将来時点で支払える状況にない場合滞納しやすい、などのデメリットもあります。
納税通知書が届いた時点で、多少の余裕があるようでしたら上記のデメリットが解消できる一括納付をしましょう。
一回の支払金額が高額になりますが、前年から納税代金を貯蓄して備えることで納付できます。
家計を見直す
固定資産税の滞納防止に限らず、家計は定期的に見直し、無駄な支出を削減しましょう。
特に固定費の見直しは支出削減に大きな効果を発揮します。
その他に、不要なサブスクリプションサービスの契約解除なども有効です。
固定費を月1万円浮かせることができれば、年間12万円を固定資産税の支払いに充てることができるようになります。
納税資金を工面する
納付期限間近で支払えるお金が足りない場合は、資金を工面する必要があります。
工面する方法には、オークションアプリやフリマアプリなどで不用品や貴金属などを売却する方法のほかに、動産や金融資産を換金する方法があります。
差押えられ公売になってしまうと、本来の価格より割安で売却されてしまいますので、あらかじめ自身で売却し、滞納を防ぐ資金に充てる方が望ましいです。
それでも滞納してしまった場合の解決方法
どうしても固定資産税を支払いきれず滞納してしまう場合は、所有している不動産を売却し、その売却代金から支払いに充てる方法を検討する必要があります。
ここからは「一般売却」「任意売却」「リースバック」「リバースモーゲージ」の4つの不動産を使った資金調達方法をご紹介します。
一般売却(アンダーローン時)
所有されている不動産に住宅ローンが残っている場合、不動産売却価格が住宅ローンの残額を超えるときに一般売却が可能です。
売却代金から住宅ローンを返済し残った金額から、固定資産税滞納分の支払いに充てます。 市場価格で売買ができるため、競売や公売よりも高値で売却できる可能性が高いです。
任意売却(オーバーローン時)
所有されている不動産に、住宅ローンによる抵当権や税金滞納による差押えなどが入っている場合、債権者と交渉し、不動産売却価格が債務を下回っても売却ができる方法です。
通常、抵当権が設定されている不動産や差押えが入っている不動産は、売却することが著しく難しく、購入先が見つかりません。
ですが債務を少しでも返済するためには、完済や完納が期待できなくても不動産を売却し返済に充てる必要があります。
この際、事情と返済可能額を債権者に説明し交渉することで、抵当設定や差押えを解除していただき不動産を売却可能な状態にし、市場価格で売却します。
リースバック
不動産を売却したあとに、買主と賃貸契約を締結することでそのまま住み続ける方法のことです。
この場合、売却先は投資家やリースバックに対応している不動産買取会社などになります。
通常の不動産売買となりますので、所有権は買主に移転することとなります。受け取った売却代金は住宅ローンや税金滞納の支払いに充てられます。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージは上記3つと異なり、不動産の所有権は変わりません。
所有している不動産を担保に資金を借り入れられるのがリバースモーゲージの特徴です。
一般的には、所有者が存命中のあいだは利息のみを支払い、所有者が亡くなった際に不動産を売却、売却代金から借入元金を返済する形をとります。
ただし、借り入れられる金額は住宅ローンの返済総額や支払期間、抵当権順位などが加味されるため、必ずしも希望の金額が借りられるわけではない点に注意しましょう。
不動産を用いた資金調達は所有者の希望やライフプランに応じて、4つから選択することになります。
債務の状況や滞納状況によって選択肢には制限がかかるため、ベストな選択肢がどれになるか気になる方は、任意売却ヘルプセンターまでご相談ください。
固定資産税滞納についてのよくある質問
Q1.固定資産税と住宅ローンのどちらも払えていません。このままだとどうなりますか?
固定資産税と住宅ローンの支払いが滞っている場合、都道府県からの差押えによる公売または金融機関からの抵当権行使による競売のいずれかが行われます。
都道府県からの差押えの場合、差押えの登記をするだけで公売の実施がいつされるかは不明なことが多いです。そのため、住宅ローン滞納による金融機関からの競売申立が先行します。
競売を回避するためには、早急に任意売却の検討をする必要がありますので、任意売却を専門としている不動産会社に相談いただくことをおすすめします。
Q2.競売と公売はなにが違うのですか?
競売と公売の違いは主体にあります。
公売の主体は国や地方公共団体で、主に税金の滞納によって実施されます。
競売の主体は金融機関や個人などの債権者で、主に抵当権や確定判決によって実施されます。
共通する点としては、どちらも市場価格の50~70%程度の価格で落札される可能性が高く、所有者視点からは損していることになります。
Q3.任意売却をすれば固定資産税の滞納もなくなりますか?
任意売却はたしかに、債権者と交渉して債務額を圧縮したり、免除したりできるケースがあります。
しかし税金だけは免除されることはありません。
税金は国民の3大義務に数えられる義務であるため、たとえ自己破産をしたとしても税金の支払い義務だけは残ります。
免除はされないものの、納付猶予や換価猶予など一括での完納が難しい場合に、一定期間で分納する猶予を与えてくれることがあります。
Q4.自己破産も検討したほうがよいでしょうか?
固定資産税や住宅ローン、他借金などの総額にもよりますが、必ずしも自己破産が解決に繋がるとは言えません。
自己破産をすると、生活必要最低限の財産以外はすべて換価されます。
一方、個人再生という手続きでは住宅ローン以外の債務を整理することができるため、自宅は残すことができます。
このように、債務総額や債権者の数、自宅を残したいのかなどのご希望を考慮にいれたうえで自己破産や債務整理、任意売却を検討していく必要があります。