え、競売の費用は債務者が負担?実際にかかる競売費用を紹介

不動産競売にかけられると一方的に不動産が売却されることになりますが、多くの人が動くことになるためそこには費用がかかります。
ではその費用は一体誰が負担することになるのでしょうか?
本記事では競売にかかる費用とその負担は誰がするのかについて解説していきます。

不動産競売とは

不動産競売とは、債務者の滞納が続いた際に債権者が裁判所に申し立て、不動産を強制的に差し押さえ売却し、売却代金から債権を回収することです。

競売は債権者の担保権の有無で「担保不動産競売」と「強制競売」に分かれます。

抵当権設定のある担保不動産競売

担保不動産競売とは、その名の通り担保権を行使した不動産競売のことです。不動産競売の場合における担保権とは抵当権を意味します。

通常、住宅ローンや不動産担保ローンなど多額のローンを組む際には、万が一支払えなかった場合を想定して抵当権が設定されます。
そして実際に支払いが滞ると、債権者が抵当権を行使することで不動産競売にかけられます。

債務名義の取得が必要な強制競売

強制競売とは、裁判所から「債務名義の取得」をすることで申し立てることのできる不動産競売です。
担保不動産競売との違いは、債権者が抵当権を設定しているかどうかです。

カードローンや消費者金融、個人からなど比較的少額の借金である場合は、貸し借りの際に抵当権を設定することはそれほど多くありません。
しかし、これでは返済が滞ってしまった場合の回収手段がなく債権者が不利となってしまいます。
そこで、裁判所に申し立て「債務名義の取得」をすることで、債務不履行状態にある債権者だと正式に確定させることで、競売の申し立てができるようになるのです。

競売申立費用とは?

競売を申し立てられる債務者は、自身が不動産の売却に関与しないため、どのような流れで進んでいくのか、どれくらいの費用が発生しているのかを知ることが難しいです。
不動産競売の流れは「不動産競売の流れと恐ろしいデメリットとは?」で詳しく解説していますので、今回は競売にかかる費用、競売申立費用についてひとつずつみていきましょう。

競売の実行に必要な予納金

競売にかかる費用のなかで、もっとも高額になるのが予納金です。
東京地方裁判所を例に予納金として必要な金額を紹介します。特徴として、請求債権額(債務および損害金の合計額)によって変動します。

請求債権額価格
2,000万円未満80万円
2,000万円以上5,000万円未満100万円
5,000万円以上1億円未満150万円
1億円以上200万円

また予納金の使用用途は多く、主に以下のために使用されます。

  • 差押え登記の嘱託費用
  • 競売開始決定通知書の郵送費
  • 「債権届出の催告書」の郵送費
  • 現況調査にかかる費用
  • 競売物件評価人の評価料
  • 広告料
  • 売却実施手数料
  • 代金納付通知費用
  • 呼出状の郵送費

このように、競売実施にかかるほとんどの費用が予納金に含まれているため高額になる傾向があります。

競売の申立手数料

競売を申し立てる際に提出する申立書に貼付する収入印紙の費用です。 競売の種類によって若干の違いがありますが、基本的には4,000円がかかります。

種別申立手数料
担保不動産競売(担保権の実行)4,000円/担保権1個
強制競売(債務名義の取得が必要)4,000円/請求債権1個
形式的競売4,000円
※形式的競売とは、債権回収が目的ではなく不動産を換価し現金にすることが目的の競売です。
(例:相続した共有持分不動産を競売で換価し現金で分け合う など)

登録免許税

納付額は請求債権額(債務および損害金の合計)の1,000分の4となります。
仮に請求債権額が2,500万円である場合の登録免許税額は10万円です。

なお、登録免許税が1,000円に満たない場合は1,000円となります。

切手代

申立人が競売の申し立てを行う際に、裁判所へ申立書類を郵送する費用です。 申立書類の総重量によって多少変動しますが、84~94円程度がかかります。

競売申立費用は誰が負担するのか

強制競売の場合、債権者は競売の申し立てを行うために先に「債務名義の取得」をする必要があることを最初の方で説明しました。

実はこの債務名義の取得時にかかった費用も債務者に請求することができます。
数十万円もするということはないですが、申立人が競売申立の申請をする際に提出する「請求債権目録」に記載することで債務のなかに含めることができます。

競売を回避するには任意売却

競売になると、競売申立費用という約100~130万円もの必要のない債務が増えることが分かりました。
債務は増え、売却金額は市場価格の約50~70%と低くなる競売は債務者にとってメリットがないため、なんとしても競売を回避する必要があります。

そこでここからは競売回避の手段である任意売却について紹介していきます。

任意売却とは

任意売却とは、差押えを受けている不動産の差押えを解除し、競売ではなく一般市場で不動産を売却することのできる方法です。

なぜ差押えを解除することができるのかというと、任意売却では債権者と交渉をすることができるためです。
債権者と交渉ができることで、差押えの解除や競売の取り下げ、残債の支払い方法など、多くの面で競売よりも融通が利くようになります。

任意売却のメリット

任意売却には多くのメリットがありますが、最大のメリットは競売よりも高く売却ができる点です。

任意売却は市場価格での売却となりますので、仮に2,500万円の価値が不動産にあれば2,500万円前後で売却が可能です。
しかし、競売の場合は市場価格の50~70%が相場となりますから、1,250~1,750万円の売却となってしまい、結果として1,000万円以上の損をすることとなります。

他にも任意売却のメリットとしては以下のようなものがあります。

  • 売却後の引越し費用が補助される
  • 引越し時期の相談ができる
  • 残ってしまった債務の返済方法が相談できる
  • リースバックと組み合わせれば住み続けることができる

任意売却のメリットや競売のデメリットはこちらの記事でも解説しています。
関連記事:競売にはメリットがないって本当?デメリットと一緒に徹底比較!
関連記事:任意売却のメリット10選!任意売却を選ぶべき理由がすべて分かる

記事の執筆者

長井一記
長井一記 / 任意売却ヘルプセンター センター長

少年期に経験した競売と、不動産業界にて数多くの不動産売買に従事した経験から、少しでも多くの方を競売から救うことのできる「任意売却ヘルプセンター」を設立。
ご相談者さまに寄り添い、任意売却・リースバック・その他の解決手段で競売回避を実現します。

趣味:登山/ジム/地域ボランティア

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