任意売却の流れと実施できる期間を解説!成功のためのポイントも紹介

今回は、任意売却の実際の流れを紹介していきます。
すでに任意売却に向けて動いている方も、これから検討をされる方も、流れを把握することで不安にならずに任意売却が進められるようになります。

また、流れの中で押さえておくべき任意売却成功のポイントも紹介していますので、是非ご覧ください。

任意売却とは?

住宅ローンや借金などの返済が滞り、競売で落札される前に、金融機関(債権者)の合意を得て不動産を市場価格で売却することが出来る手段です。

任意売却と競売の違いとは?

競売の場合、不動産の売却(落札)は自動的かつ一方的に進みます。売却金額は低くなりやすく、引越しのスケジュールは決められないなど、コントロールできない点が特徴です。

任意売却は任意売買とも呼ばれるように、不動産の売却を任意で行えます。市場価格での売却活動や引越しのスケジュール調整など、コントロールできる点が特徴です。

任意売却のメリット

なぜ任意売却で競売を回避するべきなのか。それは任意売却に多くのメリットがあるからです。
代表的なものに

  • 市場価格に近い金額で取引されるため競売に比べ、残債が少なくなる
  • 債権者との交渉次第では残債の支払いが免除、減額、猶予などされる
  • 買主とも交渉できるため住み続けるという選択肢がある(リースバック)

などがあります。

任意売却のメリットをまとめた記事「任意売却のメリット10選!任意売却を選ぶべき理由がすべて分かる」で詳しく解説していますので、任意売却を検討中の方はぜひご覧ください。

任意売却の実際の流れ

ここからは実際の流れに沿った任意売却の流れを紹介します。
任意売却の流れは競売の流れと部分的に並行する場面がありますので、あらかじめ競売の流れを把握していると、よりイメージがしやすくなります。 まだ競売の流れを知らない方は先にこちらの記事をご覧ください。

関連記事:不動産競売の流れと恐ろしいデメリットとは?

債権者(金融機関)からの督促

住宅ローンや借金の返済が滞り始めると、電話、督促状、催告書と期間を経るごと支払請求の温度感が高まっていきます。 また滞納から6ヵ月が経過する頃、期限の利益を喪失し保証会社が代位弁済を行うことになります。

任意売却に向けた事前準備期間(期限の利益喪失までの滞納期間)

住宅ローンを含む借入の滞納開始から期限の利益を喪失するまでの約6カ月の間は、債権者の合意を得た任意売却はほとんど行えません。

例え住宅ローンの滞納中であったとしても「期限の利益を喪失する」までは「遅滞なく住宅ローンの支払いをお願いします」と返されることが多いのが現状です。債権者の立場としては住宅ローンを計画通りに払っていただき利息を得ることが最優先事項であるためです。

ですが、この期間中に任意売却事業者を探し相談したり、不動産の査定、ローン残高の確認を行ったりなどの事前準備を進めることはできます。
早め早めに準備が任意売却成功の確率が高めることに繋がります。

信頼できる任売却事業者を探す

任意売却の相談先は主に3つあります。任意売却専門の不動産会社、不動産売買がメインの不動産会社、弁護士事務所のいずれかです。

任意売却専門の不動産会社

日頃から債権者との交渉や任意売却物件の購入先を探しているため、任意売却を任せるにはとても心強いです。

売買専門の不動産会社

不動産の売買は専門領域であるものの、債権者との交渉や任意売却に必要な書類の準備など不慣れな点も多く、時間との戦いである任意売却を任せるには不安が残ります。 担当者によってはまったく任意売却の経験がない場合もある点にも特に注意が必要です。

弁護士事務所

法律面での知識は圧倒的に優れていますが、任意売却は不動産取引であるため、弁護士のみで完結することができません。結局のところは弁護士事務所を通して不動産会社に依頼が入ることになります。

任意売却専門の不動産会社であれば、弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどと提携していることが多いので、弁護士事務所を窓口とするのではなく、任意売却専門の不動産会社を窓口とする方がよいでしょう。

任意売却ヘルプセンターも任意売却専門の不動産会社ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

不動産の価格査定と売却時期を確認

任意売却を任せる先を決めたあとは、任意売却の対象となる物件の市場価格と売却時期を調査してもらいます。
おおよその金額が分かれば、住宅ローンなどの借入が完済できそうか分かります。
また想定売却時期が分かれば、競売の開札までに間に合うのかが分かりますので、どのような販売戦略を取るのかについて不動産会社と相談できるようになるでしょう。

ローン残高と滞納額の確認

市場価格および売却時期の調査依頼と並行して、自身で行えることとしては、住宅ローン残高と滞納額がいくらなのかを正確に把握することです。 この2つを正確に把握することで、目標売却価格をいくらに設定するのかが変わります。
また住宅ローンの残債がどの程度になってしまうのかも想定することができます。

住宅ローン残高と滞納額は借り入れている金融機関に確認しましょう。 確認出来る方法は3通りあります。

返済予定表

返済予定表には住宅ローンの返済額や元金と利息の内訳などが記載されています。
そのため滞納し始めた月が分かれば現在の滞納額も確認することが可能です。 手元にない場合、金融機関によっては再発行の対応をしているところもありますので、問い合わせてみましょう。

残高証明書

正式名称「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」と呼ばれる残高証明書は、住宅ローン控除を受けるために必要な書類として毎年10月頃に金融機関から送られてくるのが一般的です。
再発行の方法については金融機関によって異なるので、公式サイトなどから確認しましょう。

借り入れをしている金融機関のWEBサイト

WEBサイトの機能が充実している金融機関であれば返済予定表や残高証明書の再発行依頼に加えて、WEB上での照会が可能な場合があります。

債権者から任意売却の許可を得る

あらかじめ査定した想定売却価格等をもとに債権者に対し、任意売却を進めるための許可を得る相談をします。
債権者が複数いる場合、全ての債権者から同意を得たうえで任意売却は進めることとなります。 なぜ同意を得る必要があるのかというと、不動産の売却には抵当権の抹消が必要不可欠であるためです。

抵当権とは、住宅ローンを組む際の担保として金融機関が設定する担保権のことです。
万が一住宅ローンの返済が滞った際に、住宅ローンを組む対象となった不動産に設定していた抵当権を行使することで、債券の回収を図ることを目的としています。

債権者との交渉に必要な返済計画

任意売却を進めるための許可を得るには、債権者側のメリットをうまく伝える必要があります。
ですが、債務を抱えており競売の危機にある状態では、他人(債権者)のことまで考えている余裕はありません。
そこで任意売却専門の相談員が両者の視点に立ち、双方の利害のバランスを考慮した円滑な交渉を進めていきます。

想定売却価格と売却時期

債権者は債権の100%回収を最大の目的としています。そのため競売であろうが任意売却であろうが100%回収できるのでしたらどちらでも良いという構えです。

ですので、任意売却の許可を求める際の想定売却価格は非常に重要なポイントとなります。
売却時期については、債権者、債務者、買主の都合が合うできるだけ早いタイミングが理想です。競売の開札日前日までには必ず間に合わせる必要があります。

残債の返済方法について

任意売却をしたとしても残債が残る場合、毎月どの程度の金額を返していくのか、返済の期間はどれくらい猶予いただけるのかについても債権者と交渉しておく必要があります。
任意売却後の生活再建に大きく影響してくるところですので、忘れずに話し合うようにしましょう。

分配案について

債権者や抵当権者が複数いる場合、不動産の売却代金を分配することになります。
この分配についてはすべての債権者および抵当権者からあらかじめ承諾を得る必要があるため、分配案を作成し確認依頼を行いましょう。 第一位抵当権者以下については、抵当権抹消費用という形で少額の分配となることが多いです。

売却活動の開始

任意売却の許可が正式に得られたら、すぐに売却に向けた販売活動を開始します。
この時点ではおおよそ開札期日まで約2~6カ月ほどです。

期日までに任意売却の完了が間に合うよう、ホームページへの掲載や不動産業者専用ネットワークへの掲載、広告などを活用し買主を探します。
なお状況によっては高値売却を優先するのか、早期売却を優先するのかなど優先項目が異なるため、売却活動もそれに合わせて調整していくこととなります。

販売活動の報告

販売活動の状況は週に一度、場合によっては債権者の要請に応じて都度行います。 販売活動が思わしくない場合は、報告とあわせて売出価格の下方修正の合意やその他調整を行います。

ポイント

売出価格の交渉が上手くできるかが、任意売却の成功を左右します。
債権者との交渉に慣れていない担当者だと、売出価格を下げる許可が得られずに、いつまでも高い価格で売り出し続けた結果、買い手が見つからず最悪、競売に至ってしまうのです。

内見の対応

販売活動中にご相談者様に対応いただくこととしては、興味を持った方からの内見に快く応えていただくことです。

任意売却は居住期間中に行われるため、室内が汚かったりするとイメージダウンにつながりせっかく興味を持った方の購入意欲を削ぐことになります。 ですので、室内はできるだけきれいにし、いつでも内見が入っても問題のないようにしておきましょう。

売買契約の締結と引き渡し完了まで

販売活動が順調にいき購入を希望される方が見つかったら、売買契約の締結に向けて準備を進めていきます。ここでも債権者と足踏みを揃えることが重要になります。

契約締結前の債権者確認

買主と売買契約を締結するには、その内容について事前に債権者から合意を得る必要があります。

特に「売買代金分配表」で定める諸費用については販売活動で生じた費用(仲介手数料、印紙代、登記費用など)に加えて引越費用を記載することが可能です。
またマンション管理費や修繕積立金を滞納している場合も分配表に記載して諸費用に含めてもらえるかを相談してみましょう。

売買契約の締結

売買代金や分配表について債権者からの合意が得られたら、買主と売買契約を締結します。 通常の不動産取引と同様に売買契約時に手付金を受け取り、約1カ月後に決済日を迎え、決済と引き渡しを行い完了となります。(ただし開札期日が目前に迫っている場合はこの限りではありません。)

この期間中に買主は購入資金を用意し、売主は退去の準備や引越しをし、不動産を引き渡せる状態にする必要があります。

決済日(引渡日)に行う手続き

決済日には利害関係者全員が集まり、売買代金の授受、分配表で定めた金額の分配・抵当権抹消・所有権移転の手続き、引渡しなどすべての契約処理をまとめて実行します。

売買代金の授受と債権者への分配

買主は売買契約時に定めた金額を決済日までに用意し持参します。また住宅ローンを組む場合は金融機関から融資承認を受けた状態で当日に臨みます。

売主は買主から受け取った売買代金に対し領収書を発行し、その場で売買代金分配表に従い債権者に対して支払いを行います。
引越し代が認められている場合は、この場で受け取ります。

抵当権抹消と所有権移転手続き

債権者による抵当権の抹消も同日中に実行されます。

一般的に抵当権付きの不動産が売却できないケースが多いのは、不動産購入後も元所有者の債務状況次第で抵当権者から差し押さえられてしまうというリスクを買主が背負うためです。
そのため、売買代金の支払い後その場で抵当権抹消と所有権移転の手続きを行うことで安全な形で取引を完了させます。

決済日までに不動産を引き渡せない場合

一般売却と異なり、任意売却の場合は競売が差し迫っている状況であるため、競売の開札前に任意売却を急ぎ完了させることがあります。
この際、売主の引越し先が見つかっていない状態で決済日を迎えることになるため、買主と交渉の上「引き渡し猶予」に同意いただく必要があります。

引き渡し猶予とは、売買契約成立後も一定期間は売主の居住を認め、引き渡されるまでの期間を猶予することです。

任意売却成功の秘訣

任意売却の流れが分かったところで、成功確率を高めるための秘訣を紹介したいと思います。

金融機関など債権者からの連絡は無視しないこと

住宅ローンや借金などの滞納中は、申し訳ない気持ちやどうしようもない気持ちから債権者からの連絡を無視してしまう傾向にどうしてもなってしまいます。ですが、任意売却を検討するならば債権者からの連絡は無視せずに応じるようにしましょう。
任意売却は債権者と交渉することで成功に近づきます。連絡を無視し続けていると心象が悪くなり、債権者側の担当者もこちらに寄り添った対応ができません。

室内をキレイにしておくこと

任意売却で不動産を売却する際は、自身が居住している間に購入希望者の内覧を受ける必要があります。室内が散らかっている、汚い状態では購入希望者の物件に対するイメージを高める事ができずに買付が入りにくくなってしまうでしょう。そのような事態を避けるためにも室内はできるだけキレイに保ち、購入希望者が気持ちよく内覧できるようにしておくことが重要です。

任意売却の相談先を早めに見つけること

任意売却は時間との戦いです。開札期日が目前になったタイミングでは、任意売却の依頼をしたとしても交渉の時間がなく、競売になってしまうことでしょう。

そうならないためにも任意売却の検討と相談先は早めに決めておくことが大切です。 ベストなタイミングは滞納中でまだ期限の利益を喪失していないときに相談先が決められるとよいです。今後の動き方や販売戦略などを練る時間が十分に残されているため、余裕を持った任意売却ができます。

任意売却後の生活再建

任意売却完了後に残債が残る場合、その後の生活に大きな不安が残る形となってしまいます。
任意売却ヘルプセンターでは、できる限り不安が払拭された状態で生活再建ができるように様々なサポートを行っています。

提携弁護士への無料相談

残債の支払いや、継続した支払いがどうしても難しいなどの場合は、最終手段として任意整理や自己破産を検討することがあります。その際、任意売却ヘルプセンターと提携している弁護士に無料で相談をすることができます。
これまでの経緯や任意売却が実施済であるなど、詳細は任意売却ヘルプセンターからも共有されていますのでスムーズに相談を進めることが可能です。

ファイナンシャルプランナーへの無料相談

お金にまつわることで二度と困ることが無いよう、任意売却後のライフプランニングを任意売却ヘルプセンターと提携しているファイナンシャルプランナーがサポートします。
収支のバランスや資金繰りの方法など、まずは資産を守り堅実に増やしていくことを重点に置いたプランニングで生活再建を支えます。

よくある質問

任意売却成功のために何かやっておいた方がいいことはありますか?

購入希望者が内見を希望する場合に備えて、自宅を片付けて綺麗な印象を与えられるようにしておきましょう。他には新居への引っ越し準備として荷物の整理、引っ越し先の希望要件をまとめて不動産会社に連絡しておきましょう。

費用はどれくらいかかりますか?

任意売却を行うためにかかる持ち出し費用はありません。
必要な経費は任意売却による不動産売却代金の中から差し引かれるため、持ち出し0で任意売却に取り組むことが出来ます。

他の不動産会社から聞いた流れと違うのですが?

任意売却の流れは、ご相談者さまの状況や債権者がどの金融機関なのかによっても変わります。また一部は並行して進むこともあるため、明確かつ単一な流れではないのが現状です。
そのため、どのようなケースでも柔軟に対応ができる任意売却専門の不動産会社に依頼することを推奨します。

競売開始決定通知書というものが届いてのですが、まだ間に合いますか?

安心してください。まだ任意売却をするには間に合います。
競売開始決定通知書が届いたということは、開札期日までおおよそ6ヵ月となりますので、任意売却の流れに従って順序良く進めていけば、問題なく任意売却を成功させることができるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
任意売却の実際の流れを具体的に紹介してきましたが、想像以上に工程が多いと感じられたことと思います。

流れが見えてくると、先が見えないことに対する不安や、次はどうしたらいいのかといった焦燥感が少なくなり、余計な心配をせずに任意売却の成功に向けて集中することができるようになります。
ご相談者さまと不動産会社が足並みを揃えることで成功の確率も上がるのです。

任意売却ヘルプセンターは、様々なケースでの任意売却を成功に導いた実績と任意売却後の生活再建を重視したサポート体制も万全にしております。
安心して任せられる任意売却専門の不動産会社をまだ見つけられていない場合は、ぜひ任意売却ヘルプセンターまでお問い合わせください。
ご相談無料にて担当相談員がお待ちしております。

記事の執筆者

長井一記
長井一記 / 任意売却ヘルプセンター センター長

少年期に経験した競売と、不動産業界にて数多くの不動産売買に従事した経験から、少しでも多くの方を競売から救うことのできる「任意売却ヘルプセンター」を設立。
ご相談者さまに寄り添い、任意売却・リースバック・その他の解決手段で競売回避を実現します。

趣味:登山/ジム/地域ボランティア

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任意売却の専門相談員はもちろん、任意売却を円滑に進めるために弁護士、税理士、司法書士など士業の先生方ともパートナーシップを結んでいます。
任意売却後の生活再建はファイナンシャルプランナーに相談できる体制も整えていますので、安心してご相談ください。