【完全網羅】リースバックのメリット10選を徹底解説

リースバックとは、不動産の売却と賃貸をセットにした取引で、売却した後も同じ物件に住み続けられる方法です。しかしリースバックについてよくわからず、適切な選択肢であるか、悩んでいる方もいるでしょう。

そこで本記事ではリースバックのメリットを中心に解説します。メリットを理解することでリースバックの活用イメージができ、自身の状況に合わせてリースバックを行うべきか判断ができるようになります。 リースバックについてよくわかっていない方や、どのようなメリットがあるか知りたい方はぜひ参考にしてください。

知らぬは損。リースバックとは?

リースバックとは、自宅などの不動産を売却した際に、買主に対してリース(賃貸)料を支払うことによって、そのまま住み続けられる方法です。

大きな特徴は、自宅が自己所有から賃貸物件に変わる点です。とはいえ売却と同時に賃貸借が始まるため、所有権は移動するものの、 引っ越す必要がなく今まで通りの生活を続けられます。 住宅ローンの返済が滞った場合に競売を避ける手段として用いられるほか、まとまった資金が必要な場合にも活用される方法です。リースバックの仕組みについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

リースバックのメリット10選

自宅の活用方法としてさまざまな手段があるなかで、リースバックを選択することには以下のメリットがあります。

  • 住み慣れた家に住み続けられる
  • 所有時の負担だったコストがなくなる
  • 不動産の所有リスクがなくなる
  • 将来的に自宅を買い戻すことが出来る
  • 無金利無担保でまとまった資金調達ができる
  • お金の使用用途に制限がない
  • 短期間で資金調達ができる
  • 大きな出費となる引越し費用がかからない
  • 自宅を売却したことが近隣には分からない
  • 住宅ローン返済に困った場合の救済手段となる

リースバックの活用を検討するために、メリットをひとつずつ見ていきましょう。

住み慣れた家に住み続けられる

しかしリースバックを活用すれば引越しを要しないため、住居が変わらないだけでなく、今までどおりの生活が可能です。職場への通勤にも支障がなく、転勤や転職を考える必要がありません。

また、子どもの転校・転園なども行わずに済むため、 家族にストレスを与えることもないでしょう。
自宅を売却しても住環境やライフスタイルを変えることがなく、これまでと変わらぬ暮らしを継続できる点はリースバックの大きな魅力です。

所有時の負担だったコストがなくなる

リースバックで自宅を売却すると、自己所有ではなくなることによって、維持管理費などのコストがかからなくなります。たとえば固定資産税などの税金のほか、定期的なメンテナンス費用などです。
持ち家や分譲マンションを所有している場合は、家賃を払うだけの賃貸と比べて、そうした維持コストがかかります。しかし賃貸ならば、基本的には家賃のみ(物件によっては管理費・共益費あり)で居住することが可能となるのです。

固定資産税や都市計画税といった税金は、不動産の所有者に支払い義務があるため、自宅を売却した後にはかかりません。

さらに設備が故障した際の修理費だけでなく、屋根や外壁などの性能を保つためのリフォーム費用なども所有者の負担となります。またマンションであれば修繕積立金を支払う必要もなくなります。
突発的にかかる修理費用や、リフォーム費用のような大きな金額がかからないため、毎月の支出が固定化されることから、長期的な資金計画を立てやすくなるのもリースバックのメリットです。

不動産の所有リスクがなくなる

不動産を所有することには多くのリスクがありますが、リースバックにより賃貸契約の形で居住すると、そうした所有リスクがなくなります。

たとえば持ち家や分譲マンションの場合、自然災害や人災により建物が倒壊・破損するリスクはゼロではありません。建物が安全に住めない状況になっても、修繕費用が保険で全額賄われるとは限らないのが現実です。
また、所有物件には資産価値が減少するリスクもあります。建物の劣化により価値が下がるだけではなく、交通機関や周辺施設の影響によって地価が変動するのも、その一因です。

さらに住宅ローンの金利変動や、ローン滞納時の競売リスクまで考えられます。変動金利でローンを組んだ場合は、低い金利で資金計画を立ててしまい、返済が厳しくなるケースも見られます。住宅ローンの返済が滞り、競売にかけられる可能性も否めません。
所有物件にはさまざまな懸念点がありますが、リースバックで売却することによって、こうしたリスクがなくなります。余計な心配事がなくなるため、精神的な負担が軽減される点も大きなメリットと言えるでしょう。

将来的に自宅を買い戻すことが出来る

リースバックで売却した場合、特約をつけることによって将来的に自宅を買い戻すことが可能です。一時的にまとまった資金が必要な場合などに売却し、再び資金の目処が付いたら買い戻すという方法です。

買い戻す方法としては「買戻特約」と「再売買の予約」の2つがあります。

買戻特約とは、売買代金や契約時にかかった諸費用を買主に返すことで、 売買契約を解除できる特約です。ただし、決められた期間(最長10年)の間に必ず資金を返還する必要があります。
一方の再売買の予約は買戻特約とは異なり、将来的に再購入することを予約するものです。あくまでも予約であるため法的拘束力は弱いですが、そのぶん買い戻す期間を自由に設定できます。
決められた期間内に買い戻しを行うか否かが未定の場合は、買戻特約よりも再売買の予約の方が無難といえるでしょう。

なお、買戻特約と再売買の予約は、いずれもリースバックの売買契約と同時に設定しておく必要があり、契約後に特約を付加することはできません。買い戻しについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

無金利無担保でまとまった資金調達ができる

リースバックは不動産の売買取引であるため、無金利・無担保でまとまった金額を得られます。この点が、ローンによる資金調達とは異なる点です。

特に大きな金額を借り入れできるローンとしては不動産担保ローンがありますが、不動産担保ローンの金利は低くても1%前後、金融機関によっては10%近くにもなります。
調達する金額が大きくなるほど支払う利息も多くなるため、無金利で資金を得られる点はリースバックの強みといえます。さらにリースバックは売却のため、得た資金を返済する必要もありません。

お金の使用用途に制限がない

リースバックで不動産を売却して得た資金は、売却益となるため使用用途に制限がありません。通常、金融機関から借り入れをした場合には使用用途が限られている場合があります。
しかしリースバックであれば資金の使い道が自由のため、融資の返済に充てられる以外に、老後の生活資金としても使用できます。そのほか、大きな病気を患った場合の治療費に充てるなど、さまざまな目的で利用することが可能です。

また、事業資金として使うこともできるため、特に個人事業を営んでいる方にとっては有効な資金調達手段といえるでしょう。会社を経営している場合にも、売却で得た資金を、自身で運営する法人に貸し付けることは可能です。
ただし、売却益が課税対象になる点については、念頭に置いておきましょう。

短期間で資金調達ができる

住宅を売却する場合、通常であれば取引完了までに相当の期間を要しますが、リースバックを活用すると、短期間で資金調達が行えます。

たとえば一般的な不動産取引では、買い手を探すことが長期化する場合があるうえ、売買契約の手続きにも時間がかかります。
さらに買主側が一般の方なら、住宅ローンの審査や手続きなどを行う期間も必要です。買主の募集や手続きの期間を含めると、売却完了までに数か月かかることが多いでしょう。

その点、リースバックの買主は、リースバックサービスを行っている企業であることがほとんどです。常に買取資金を確保していることから、一括で支払いが可能であり、決裁までのスピードが早いことが特徴です。
双方で話がまとまれば、最短1週間でリースバック契約の締結が完了することも珍しくありません。

大きな出費となる引越し費用がかからない

通常、自宅を売却するとほかに住居を探して引っ越す必要があります。しかしリースバックでは自宅が所有物件から賃貸物件に変わるだけであり、引っ越す必要がないため、引越し費用がかかりません。

引越し業者に払う費用は、3人以上の家族であれば10万円前後から、移動距離によっては20万円前後かかる場合もあります。そのほか、賃貸の契約をする場合は仲介手数料や保証料がかかり、それぞれの目安は家賃の1か月分程度です。

リースバックを活用して同じ家に住み続けると、こうした数十万円にもなる引越し費用を削減できるのです。敷金や礼金は基本的にかかりますが、買主との交渉次第で不要となるケースがあります。

自宅を売却したことが近隣には分からない

リースバックでは自宅を売却した後もそのまま住み続けられるため、家を売った事実が近隣住民に知られないこともメリットです。

資金調達などが理由で自宅を手放す場合、周りの目を気にする方も少なくありません。世間体が気になったり、売却した理由を詮索されたくなかったりするためです。
特に競売にかけられる場合は知られたくないという方も多いでしょう。近所付き合いの多い地域やマンションであれば、なおさらのことです。

その点、リースバックなら所有権が移転するだけのため、周囲から見ると物件には動きがなく、暮らしている家族の顔ぶれも以前のままです。売却後も特に変わりなく、今までどおりの生活や交流を続けることができます。

住宅ローン返済に困った場合の救済手段となる

昨今では不況やコロナ禍の影響により、住宅ローンの返済が滞る方が増える一方です。そのなかで、リースバックは住宅ローン返済に困った場合の救済手段として活用されています。

住宅ローンを滞納して競売にかけられた場合、自宅を安く売却することとなり、残債がある状態で家を出なければなりません。しかし、任意売却とリースバックを併用すれば、家に住み続けながら住宅ローンの完済や大幅な減額が可能です。

任意売却とは、住宅ローンを返済できなくなった場合に、競売以外の方法で自宅を売却することです。競売のように裁判所を挟んだ手続きではないため、取引の仕方に法的な定めはなく、任意売却事業会社との間で自由に取り決めできます。

任意売却で売る際に、リースバック会社を買主に指定することによって、ローンを完済または大幅に減額したうえで住み続けることができるのです。実際の解決事例については、以下のページで詳しく紹介しています。

リースバックのデメリット3選

ここまではリースバックのメリットについてお伝えしてきましたが、活用する際には以下のデメリットも存在します。

  • 売却価格は市場価格の80-90%程度になる
  • 家賃が周辺相場より高くなりやすい
  • 自宅の所有者ではなくな

デメリットをよく理解したうえでリースバックを利用できるよう、詳しく見ていきましょう。

売却価格は市場価格の80-90%程度になる

リースバックを活用する場合の売却価格は、市場価格の80~90%程度に収まるケースが多くなっています。リースバックの特性上、取引から一定期間は買主が自由に不動産を扱えないことが、理由のひとつです。

売買成立後もそのまま住み続けることが決まっているため、取引終了直後に買主が再販することはできません。本来ならばリノベーションをして再度販売すれば得られたであろう利益を、先延ばししている状態です。

その分が売買価格に反映され、市場価格より低くなっている場合があります。また将来的には売りに出して利益を得たいと買主は考えているため、市場価格から諸費用などを差し引いた金額が設定されるケースもあります。

結果的に、人気の低いエリアでは市場価格の80%程度に留まることもあるでしょう。しかし需要があり物件の流動性が高い地域では、売却価格も比較的高く、市場価格の90%程度になる場合もあります。

家賃が周辺相場より高くなりやすい

リースバックによって住み続けられる住宅の家賃は、一般的な賃貸物件とは異なった基準で設定されます。

通常は周辺相場や地価、室内面積などでおおよその家賃が決まりますが、リースバックの場合は売却価格に利回り分を上乗せして算出されます。

つまり、売却金額が高ければ家賃も高くなり、売却金額が低ければ家賃も低くなるということです。簡単にいうと、売買価格と家賃はバランスを保たれている状態となります。

そのため住宅ローンの残高が多く残っているなどの理由により、高めに売却金額を設定すると、周辺相場の家賃よりも高くなる傾向があります。売却時に手元に残したい得たい金額や住み続ける期間などを考慮して、自分にとって最適な売買価格と家賃であるかを判断しましょう。

リースバック利用時の注意点

リースバックを利用する際には、以下の3つの注意点もあります。

  • ずっと住み続けられるケースは少ない
  • リフォームなどがしにくくなる
  • 払える範囲で家賃設定をする

事前に知っておくことでトラブルを避けやすくなるため、ひとつずつ見ていきましょう。

ずっと住み続けられるケースは少ない

リースバックを利用して賃貸契約を結んだ場合、無期限で住み続けられる可能性は少ないでしょう。リースバックで売却した際の買主は、将来的に不動産を売却することで利益を得ようと想定している場合が多いためです。

したがって、買主側は定期借家契約による賃貸を条件とすることが多く、一定期間居住した後は退去を求められるケースがあります。

リフォームなどがしにくくなる

リースバックで自宅を売却した後は、物件の所有者ではなくなるため、リフォームなどがしにくくなります。

たとえば持ち家であれば自分の意思で改築を行うことができ、分譲マンションも管理組合などに届け出をすれば室内のリノベーションは行なえます。

しかしリースバックによって売却した後は、一般的な賃貸物件に入居しているときと同様で、自由に手を加えることはできません。リフォームやリノベーションを行うためには、所有者の許可を得る必要があります。

払える範囲で家賃設定をする

リースバックの家賃は一方的に決定されるものではなく、双方の交渉によって決まります。基本的には物件価格をもとに算出されるため、高く売却すると家賃も高くなり、安く売却すると家賃も安くなりやすいという仕組みです。

したがって売買価格の設定によって、ある程度は家賃を調整することが可能です。多額の資金が必要だからといって売買価格を高くすると、高い家賃の支払いに後々苦労することもあります。
現在のキャッシュフローだけではなく、数年先の家計も想定したうえで検討することが重要です。

記事の執筆者

長井一記
長井一記 / 任意売却ヘルプセンター センター長

少年期に経験した競売と、不動産業界にて数多くの不動産売買に従事した経験から、少しでも多くの方を競売から救うことのできる「任意売却ヘルプセンター」を設立。
ご相談者さまに寄り添い、任意売却・リースバック・その他の解決手段で競売回避を実現します。

趣味:登山/ジム/地域ボランティア

関連コンテンツ

解決事例・相談員の紹介

解決事例 詳しく見る

リストラ、収入減少、離婚、病気、被災など、住宅ローンの支払いが破綻してしまうキッカケはたくさんあります。
どのような状況でも適切な任意売却を行う事で生活再建が出来るようになります。
任意売却ヘルプセンターで任意売却を実施し、住宅ローン問題を解決した事例をご覧ください。

相談員の紹介 詳しく見る

任意売却の専門相談員はもちろん、任意売却を円滑に進めるために弁護士、税理士、司法書士など士業の先生方ともパートナーシップを結んでいます。
任意売却後の生活再建はファイナンシャルプランナーに相談できる体制も整えていますので、安心してご相談ください。