住宅ローンを滞納すると家が差し押さえられる?滞納の危険性と対策を徹底解説!

家を購入する時、ほとんどの方が住宅ローンを組まれます。
大きな金額の借金となるため、綿密な人生設計と返済計画を立てて借り入れることになりますが、それでも住宅ローンを滞納してしまうような事態がまれに発生します。

本記事では住宅ローンを滞納してしまう理由やキッカケを紹介し、万が一住宅ローンを滞納してしまうと、どのようなことが起こってしまうのかを解説しています。
住宅ローンを借りるということに潜むリスクをしっかりと理解して、滞納してしまうことがないようにしましょう。

住宅ローンを滞納してしまうキッカケと理由

住宅ローンが滞納し始める理由は大きく2つあります。

・収入の減少によるもの
・支出の増加によるもの

どのようなキッカケで収入が減少、支出が増加するのかをよくあるケースごとに紹介します。ひとつずつ見ていきましょう。

給料カットや失業による収入の減少

経済情勢の変化や会社の業績不振などによって、ボーナスや給料カットなど収入の減少に直結することがあります。
最近ではコロナの大流行によって影響を受けた方も多いはずです。 また、収入の減少にとどまらずリストラなどで職を失うことになってしまうと完全に収入源がとだえてしまい、数カ月もたたずに住宅ローンを滞納する事態に発展します。

突然の事故や病気により収入源を失う

事故や病気は突然身に降りかかるため、心の準備や対策がなかなか立てられません。

事故の中でもとくに多いのが交通事故で、怪我の程度が重い場合や後遺症が残る場合は、就業不能となることが考えられます。 入院期間、療養期間中は社会保障および入っている保険の補償が受けられますがそれもずっとは続きません。補償期間が終了すると収入源がなくなるため、十分な貯蓄がない場合は対策をたてる間もなく、住宅ローンを滞納する事態に発展してしまいます。

自然災害で被災し返済不能になる

日本は世界の中でも自然災害が多い国として知られています。 地震や津波(TSUNAMI)に加え、台風や洪水による日常的な自然災害が多発しており、万が一、家が被災してしまった場合に備えて多くの方が保険でカバーしています。

金利上昇により収支バランスが崩れる

住宅ローンを組む際は3つの金利型「全期間固定金利型」「固定金利選択型」「変動金利型」から返済計画に合ったものを選択します。 このなかでもっとも住宅ローンの滞納に発展しやすい金利型は「変動金利型」です。

まずは各金利型の違いについて紹介します。

全期間固定金利型

全期間固定金利型とは、借入時に設定された金利が一定で変動しない金利型のことで、金利の安定性と予測可能な返済計画が特徴です。
金利上昇のリスクからも保護されるが、金利が低下しても恩恵を受けられないといったデメリットがあります。

固定金利選択型

固定金利選択型とは、3.5.10年などの一定期間を固定金利にするのか、変動金利にするのかを選択することができる金利型です。
一定期間が終了すると、再度固定にするのか変動にするのかを選ぶことができます。
固定金利と変動金利の良いとこ取りができますが、その反面デメリットも同じように存在するため注意が必要です。

変動金利型

変動金利型とは、文字通り市場の動きに合わせて金利も変動するタイプの金利型です。
金利見直しのタイミングは一般的に約6カ月ごととなっていますが、支払う利息の変更タイミングは5年に一度となることが多いです。
これは6カ月ごとに支払う利息も変動すると返済計画が狂いやすく、債務者の負担が大きくなるためです。

なぜ変動金利型だと滞納しやすいのか

変動金利型の特徴として、5年に1度の利息見直しのタイミング時点で金利が以前より上昇していると、その金利が基準となり適用されることとなります。
また、利息見直しがされない5年のあいだも金利見直しは半年ごとにされているため、金利の変動に合わせて返済額のなかの元金と利息の割合が変化します。

このため、利息見直しのタイミングと生活状況の悪化のタイミングが重なってしまった場合に、住宅ローンの滞納が起こりやすくなってしまうのです。

“金利上昇幅が大きく元金の返済がなかなか進まなかった場合は、住宅ローンの最終支払日にまとめて請求される場合もあります。”

消費者金融からの借金

仕事も順調で収入が安定し住宅ローンの返済が延滞するようなことがなくても、急な出費でお金を用立てるために消費者金融から借入をすることもあると思います。

しかし、消費者金融からの借入で注意しなければならないのが、借入金額が増えていき返済に追われるようになることです。
手軽にお金を借りることができるため、当初は生活資金の足しにと考えていたものが、ブランド品や不必要な物を購入したりなど、浪費に走ってしまうことも少なくありません。

こうなると借金返済のために別の消費者金融から借金をする、自転車操業状態に陥ってしまい、最後にはそのしわ寄せが住宅ローンの返済滞納という形で表面化してしまうでしょう。

ギャンブルや浪費による支出の増加

仕事や家庭のストレス、一攫千金を狙ってパチンコやスロットなどの賭博(ギャンブル)をすることもあると思いますが、これらの賭博には中毒性がある点に注意が必要です。

負けた分を取り返そうと、より大きな金額を賭け続けたあげく、生活資金に手をつけてしまい、家計が回らなくなるケースが多くあります。 一度そのような状態になると、生活を維持するために他から資金を借り入れるようになり、次はその返済に追われはじめるなど、最終的に住宅ローンも滞納してしまうことに繋がります。

無理な返済計画で自分の首を絞めてしまう

住宅購入時に、将来的な出世や昇進による収入上昇を見越してそれを住宅ローンの返済に織り込んでしまうと、いざ予定通りにならなかったとき、滞納に直結します。 住宅ローンは高額なうえに超長期の返済期間になりますので、少しの読みの甘さや誤差が大切な家を失う可能性を大きくしてしまうのです。

精神的に不安定になり返済意思を失くしてしまう

どんなに自分事が順調であったとしても、身内や親しい間柄の人に不幸が訪れることがあります。 そのような事態に直面すると、精神的に大きな傷を負ってしまい、他のことは何も考えられず、放心状態となり何もかもがどうでもいいと感じてしまう人もいるでしょう。

傷の深さによっては精神が不安定な状態が続いてしまい、うつや躁うつの発症によって休業や失業してしまうことも考えられます。
収入源が無くなり無気力状態が続くと、いずれ住宅ローンの返済も止まってしまい、滞納が始まってしまいます。

住宅ローンを滞納するとどうなる?何が起こるの?

住宅ローンを滞納すると競売になり家を失ってしまうかもしれない。ということはわかりつつも、それ以外にどのような事が起こるのか?というのは案外あまり知られていません。

ここからは家を失ってしまう可能性に加えて、他にどのような事が起こるのか?という点について詳しく解説します。

信用情報に事故歴が残りブラックリスト登録される

信用情報とは、個人の返済能力に関する情報を集約・管理し、他の金融機関や貸金業者などが「この人は貸したお金を返せるのか」を判断するために参照する情報のことを指します。
住宅ローンを滞納すると、信用情報機関に事故歴が記録され、信用スコアや信用履歴に悪影響を及ぼす可能性があります。

影響の程度は、滞納期間や頻度、住宅ローンに限らず消費者金融や携帯電話の支払いなどが遅延していないかといったことも信用情報の事故歴として記録されます。 あまりにも事故歴が多いといわゆる「ブラックリスト」入りをしてしまい、信用情報が回復する(つまり事故歴が時効を迎えて消える)までの間は携帯電話の分割契約や賃貸契約、各種ローンといった金銭が絡む契約の審査が非常に通りにくくなってしまいます。

日本の主な信用情報機関は以下の3機関です。
3つの信用情報機関は互いが保有する信用情報を一定の範囲で共有することができるよう提携しています。

株式会社シー・アイ・シー(CIC)

CICでは個人や法人の借入履歴、返済履歴、債務残高、クレジットカード利用履歴などの信用情報を取り扱っています。 加盟しているのは主に、信販会社、銀行系・家電ローン系・自動車ローン系のクレジット会社です。

株式会社日本信用情報機構(JICC)

JICCは、消費者金融系の会社が主として構成される信用情報機関です。 消費者金融系のカードローンや他借入などの審査で参照されることに加え、返済遅延や債務不履行などの事故情報が記録されます。

全国銀行個人信用情報センター(KSC)

KSCは銀行などの金融機関で構成される信用情報機関で、各行が提供するローンなどの信用情報を管理、提供しています。

連帯保証人に督促の連絡がいく

連帯保証人は主債務者が返済できない時に肩代わりする責任を負っていますので、住宅ローンの滞納が続くと連帯保証人に一括返済の連絡が届くようになります。 連帯保証人にとっても予期しない出来事となりますので、住宅ローンの返済が難しくなった段階で状況説明をするようにしておきましょう。

遅延損害金が加算される

住宅ローンの支払いが滞り始めた月から遅延損害金が加算されはじめ、債務者の経済状況をより悪化させていきます。 遅延損害金の利率は一般的に14.6%~20%で、元金に対して以下の計算式で求めることができます。

遅延損害金 = 元金残高 × 遅延損害金の利率(年利) ÷ 年間日数(閏年の場合は366)×遅延日数

住宅ローンの債務が残り4000万円あり、6カ月滞納したケースを例に計算してみると、288万円の遅延損害金が加算されることとなります。
つまり、住宅ローンを滞納してしまうと、ただでさえ支払いが困難である状況にもかかわらず、借金が増えてしまうことになるのです。

4000万円 × 14.6%(年利) ÷ 365×180(30×6で計算)=288万円

団体信用生命保険が失効する

団体信用生命保険(以下、団信)は、万が一主債務者が死亡や高度障害になるなどして住宅ローンの返済が困難な状況になった場合に、保険会社が金融機関に対して住宅ローンを返済し、主債務者の債務がなくなる保険です。住宅ローンを組む方のほとんどが強制的に(一部のローンを除いて)加入させられます。

団信の保険料は住宅ローン返済に含まれる金利から金融機関が保険会社に対して支払っています。つまり、住宅ローンを滞納してしまうと保険料の支払いも止まってしまいます。
滞納が一定期間続いてしまうと、最終的に団信が失効することとなるのです。

住宅ローン滞納を未然に防ぐ方法

住宅ローン滞納のキッカケや理由によっては、あらかじめ住宅ローンの返済が今後難しくなりそうだなと感じる場面があると思います。
ここからは住宅ローンを滞納しそうな場合に、それを未然に防ぐ方法を紹介します。

家計の収支を見直す

家計のなかでも収入を大幅に増やすのは難しいと思います。ですので、固定費を見直して支出をコントロールすることが重要です。
固定費のなかでも見直しやすい項目としては、通信費・保険料・水道光熱費(住宅費を除く)があげられます。
また、サブスクリプションサービスを多く利用されている場合は、見直しが有効な場合もあります。 衣食住を守るためにも余計な支出はカットすることを心がけましょう。

金融機関に相談をする

多くの金融機関では、住宅ローンの返済が難しくなった方に対して相談窓口を開放しています。相談ができる項目は状況に応じて変わりますが、主に以下の3つとなります。

毎月の返済額を下げて返済期間を延長する

メリットは月々の返済額を下げられることで返済の負担が軽減する点にありますが、返済期間は伸びてしまうので支払う利息の総額が増えてしまう点がデメリットです。

1~3万円程度の減額であれば金融機関側も応じやすいので、自身の状況と希望を率直に伝え交渉するようにしましょう。

一定期間だけ返済額を下げる

上記同様、返済額を下げて支払いの負担を軽減できる方法ですが、期間が一定期間となっている点が異なります。一定期間終了後は猶予してもらっていた減額分が本来の返済分に加算されて返済する必要があります。

例:毎月15万(A)の住宅ローンを1年間のみ12万(B)に減額した場合、1年後には減額分の36万(A-B×12)を残りの支払月数で案分した金額(C)と(A)が加算された金額が毎月の返済額(A+C=15万以上)となる。

利息のみを支払う

一定期間のみではありますが、返済額を大きく減らせる方法です。 一定期間の長さは金融機関や利用している住宅ローンによって異なりますが、3年を上限とするところが多く、この3年間は元金の返済を保留し、利息のみの支払いが認められます。

一方で一定期間経過後は、通常の返済額に加えて保留していた分の元金が上乗せされます。一定期間が長く、保留していた元金の額が高い場合は、返済金額が多くなってしまう点に注意が必要です。

住宅ローンを借り換えて負担を減らす

一昔前であれば住宅金融支援機構が提供するフラット35が主要な住宅ローンでしたが、現在では各金融機関が独自の住宅ローンを多く打ち出しています。 そのなかには今組まれている住宅ローンよりも条件がよく、借り換えることで支払い総額を抑えられるケースも少なくありません。

住宅ローンの借り換えには、保証料や事務手数料、抵当権抹消費用などの諸経費がかかるため、持ち出し費用で約40万円近くがかかってしまいます。 そのため、借り換えによる恩恵を受けられるかどうかの目安として以下に該当するかを確認しておきましょう。

  • 借り換え後の金利差が1%以上ある
  • 住宅ローンの残高が1000万円以上ある
  • 返済期間が残り10年以上ある

加入している保険を見直す

住宅ローンを組む際、ほとんどの場合に加入する団体信用生命保険(以下、団信)は一般の生命保険や火災保険と保障範囲が重複しているケースがあります。
例えば、住宅購入前時点で生命保険に加入しており、住宅購入後(団信加入後)も保険を見直していないケースでは、余分な支払いを続けていることとなります。

また団信には特約を付加することも可能で、三大疾病付きや八代疾病付きなど、死亡や高度障害以外も保障範囲に含めることができます。
特約を付加している場合は、より生命保険の保障と重複する範囲が広がりますので保険見直しによる支出削減効果が大きくなります。

滞納してしまった場合の対処法

滞納してしまう理由やキッカケ、未然に防ぐ方法がわかったとしても、どうしようもない状況では滞納が続いてしまうことがあります。
このまま滞納が続くと数カ月後には競売になってしまいますが、競売を避けるための選択肢として、一括返済する・売却する2通りがあることを知っておくと、まだ対処ができます。

一括返済する

住宅ローンの残額を債権者に一括返済し、競売を回避します。 お互いにとって1番望ましい解決方法ですが、住宅ローンの支払いが難しい状況で選択できる方法ではありません。

任意売却する

債権者にこちら側の事情を説明し理解してもらったうえで、自宅を売却し住宅ローンの返済に充てます。 また、引越し費用や時期なども交渉することで多少猶予いただくことが期待できます。

“通常、住宅ローンを組んだ場合は自宅を担保に入れることで債権者が抵当権を持つことになります。一般的に抵当権が付いている不動産は買い手が付かず売却ができないため、不動産を売却して住宅ローンの返済に充てるにしても、債権者の許可が必要となります。”

関連記事:任意売却とは?競売を回避できる最終手段

住み続けるためのリースバック

任意売却のみでは自宅を失ってしまいます。新居に引越しをするにしても、引越しにかかる費用や生活圏が変わってしまうことを考えると自宅に住み続けられるのが1番です。

リースバックは自宅を売却したあともそのまま住み続けられる方法で、最終的に買い戻すこともできます。
任意売却と組み合わせると、競売を回避しつつ自宅にも住み続けられるようになるため、影響を最小限に抑えられるようになります。

関連記事:リースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまですべてが分かる

よくある質問

住宅ローンを滞納すると給料が差し押さえられる?

住宅ローンを滞納しただけで給料が差し押さえられることはありません。
ですが、任意売却や競売で自宅を売却しても住宅ローンが完済できず、残った債務の毎月の返済も滞らせてしまったときに、債権者が強制執行というかたちで給与を差し押さえることがあります。
一度に全額を返済できない状況であっても、債権者からの連絡には応じるようにしましょう。コミュニケーションが取れないと強制執行をされる可能性が高まってしまいます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
住宅ローンの返済が難しくなる理由やキッカケを知ることで、事前の対策が取りやすくなり、競売という一大事を未然に防ぐことができるようになります。

その中でも特に重要なポイントは、早急な金融機関への相談をすることです。 金融機関側も予定通りに住宅ローンを返済してもらうことが利益を最大化できるため、滞納してしまう前であれば積極的に相談に応じてくれます。

どうしても滞納が続いてしまうようでしたら、任意売却専門の相談員が在籍している任意売却ヘルプセンターに一度ご相談ください。
ご相談者さまの生活状況や経済状況、ご希望を加味したうえで最良の解決方法を一緒に考えご提案させていただきます。

記事の執筆者

長井一記
長井一記 / 任意売却ヘルプセンター センター長

少年期に経験した競売と、不動産業界にて数多くの不動産売買に従事した経験から、少しでも多くの方を競売から救うことのできる「任意売却ヘルプセンター」を設立。
ご相談者さまに寄り添い、任意売却・リースバック・その他の解決手段で競売回避を実現します。

趣味:登山/ジム/地域ボランティア

関連コンテンツ

解決事例・相談員の紹介

解決事例 詳しく見る

リストラ、収入減少、離婚、病気、被災など、住宅ローンの支払いが破綻してしまうキッカケはたくさんあります。
どのような状況でも適切な任意売却を行う事で生活再建が出来るようになります。
任意売却ヘルプセンターで任意売却を実施し、住宅ローン問題を解決した事例をご覧ください。

相談員の紹介 詳しく見る

任意売却の専門相談員はもちろん、任意売却を円滑に進めるために弁護士、税理士、司法書士など士業の先生方ともパートナーシップを結んでいます。
任意売却後の生活再建はファイナンシャルプランナーに相談できる体制も整えていますので、安心してご相談ください。