最新リースバック相場解説!相場と家賃設定の関係性とは?

住宅ローンの滞納が続いてしまい、ついに競売の危機…。
そんな時、耳にするのが「リースバック」という選択肢。一度は売却しなければならなくなった状況でも、その後も同じ家で住み続けるための方法として注目されています。

ですが、「いったい、どれくらいで買い取ってもらえるのか?」、「毎月の家賃はどうなるのか?」といった疑問や不安が湧いてくると思います。
この記事では、リースバック時の売却価格や家賃の設定の仕組み、そして家賃を抑えるコツについて、分かりやすく解説しています。 リースバックを真剣に検討される方は、ぜひ参考にしてみてください。

リースバックの基本理解

「リースバック」=「住み続けられる」という何となくのイメージで理解しているだけでは、その真のメリットやデメリットを掴むことは難しいかもしれません。
リースバックの相場や家賃設定を知る前に、まずはリースバックの基本をしっかりと理解しておきましょう。

リースバックとは

リースバックは、簡単に言うと、あなたが所有している不動産を売却した後でも、新たな買主と賃貸契約を結ぶことで住み続けられるサービスのことです。
特に、競売の危機に直面している場合や、何らかの理由で不動産を売却しなければならないが、住む場所を変えたくないといった場合に大きなメリットがあります。

リースバックのメリット

  1. 生活環境が変わらない
    家を売却しても、引っ越す必要がないためこれまでの生活や仕事を続けることができます。
  2. 近隣に競売のことが知られない
    外部から見た際の変化がないため、競売の危機にあったことが近隣に知られることがありません。
  3. 不動産の所有コストがなくなる
    固定資産税や都市計画税、修繕積立金などの所有時に発生していたコストの負担がなくなります。

リースバックのデメリット

  1. 売却金額は市場価格より安くなる
    リースバックの際は市場価格の60~80%程度の売却金額になるケースが多いです。
  2. 毎月の家賃がかかる
    売却後は賃貸として住み続けるため、家賃を支払う必要があります。
  3. 所有権がなくなる
    自宅を売却することで所有権を失ってしまうため、愛着があるほど喪失感を感じるようになります。

リースバックを利用するかどうかは、個々の状況やニーズによります。しかし、その決定をする前に、しっかりとメリット・デメリットを理解し、最善の選択ができるよう準備しましょう。

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リースバックの相場と売却価格

競売を回避する手段の一つとして、リースバックはとても有効です。
しかし、リースバックの相場というものがどのように形成され、リースバックの売却価格とどのような関係にあるのかは、非常に気になる点です。
本章ではこれらの疑問をクリアにし、具体的にリースバックの検討ができるようにしたいと思います。

リースバック相場の決まり方

多くの方が物件を売る際に気になるのが、その物件の「相場」です。
通常の不動産売買であれば、周辺の同じような物件の取引価格や条件を参考にして、相場が決まります。 しかし、リースバックの場合は少し違います。

リースバックでは、物件の所有者(売主)と新しい所有者(買主)との間の合意が最も重要です。
このため厳密な「リースバックの相場」というものは存在しません。 それでは、どのようにして売却価格を決めたらよいのでしょうか?

リースバックの売却価格の決まり方

「リースバックには相場がない」と先ほど説明しましたが、物件を売る際の価格を決定するには何らかの基準が必要になってきます。ここで参考になるのが、通常の不動産売買価格の相場です。

実際のところ、リースバックの売却価格は通常の不動産売買価格の60-80%程度となることが多く、この価格範囲が妥当であるかどうかは、物件の状態や立地、そして住み続ける際の家賃設定など、さまざまな要素の影響を受けて決定されます。

特に家賃設定は、売却後もその物件に住み続けることを考えると、非常に重要なポイントです。

リースバックの家賃設定の考え方

まず基本的に、リースバックの際の家賃は貸主と借主との間で合意される金額で決定されます。
しかし、一般的な賃貸物件とは異なり、貸主はリースバックを前提として不動産を購入します。そのため、貸主は賃料収入を通じての利回り、つまり投資物件としての収益を意識して家賃を設定することになります。

この点から、貸主が物件を購入した金額と、設定する家賃には関連性が出てきます。
例えば、物件を安く購入できた場合は家賃を低めに設定しても利回りを確保できるため、借主にとっても家賃が低く抑えられ負担が軽減される可能性があります。
逆に、物件を高額で購入した場合は、家賃も高めに設定されることが考えられます。

このように、リースバックの家賃設定は、売却価格と密接に連動しています。
リースバックを検討する際には、いくらの家賃なら支払っていけそうなのかを考えたうえで、売却価格と家賃のバランスを考慮することが求められます。

リースバックの家賃を安くする方法

競売の救済策として「リースバック」が選択される際、多くの方はできるだけ家賃を安くしたいと考えます。高く売って、安く住み続けるのが理想です。
しかし、売却価格と家賃は連動していることを知ると、安くする方法はないかと感じるかもしれません。

工夫次第で家賃を抑える方法も存在しますので、その方法を2つ紹介します。

不動産の売却価格を下げる

家賃を安くするための最も有効な方法は、不動産の売却価格を下げることです。買主が物件を安価に手に入れられれば、その分家賃も抑えやすくなります。

具体例を示すと、3000万円で物件を買った場合の利回りが7%なら家賃は約21万円になりますが、1500万円であれば同じ7%の利回りでも家賃は10.5万円と大幅に下がります。
もちろん、物件を高く売り、安い家賃で住み続けられることがベストではありますが、買主と折り合いをつけてリースバックを成立させることを優先するようにしましょう。

定期借家契約にする

「定期借家契約」という言葉を初めて聞く方もいるかと思います。これは、賃貸の契約期間を最初から決めてしまうタイプの契約方法です。
この契約の終了時には、必ずその家を出なければなりません。対照的に、通常の賃貸契約を「普通借家契約」と言います。
普通借家契約は更新の意向があれば住み続けることができますが、定期借家契約では更新の意向があっても契約の更新を拒否される可能性があります。
この「住む期間に制限がある」という特性を活かすことで、家賃の交渉余地が生まれるのです。

競売回避時のリースバックの注意点

競売を回避するためにリースバックの活用を考えている状況では、多くの場合住宅ローンやその他の債務が残っていることと思います。
これらの債務がリースバックによる売却金額で完済できるかどうかによって、リースバックを成立させられるかどうかにも大きく影響してまいります。 2つのパターンを見ていきましょう。

住宅ローンが完済できる場合

住宅ローンがリースバックの売却金額で完済できる場合、リースバックの手続きはスムーズに進みます。金融機関(債権者)は、債権を全額回収できるためリースバックそのものについて特に問題視し言及することはありません。

住宅ローンが完済できない場合

一方、リースバックの売却金額で住宅ローンを完済できない場合は、状況が厳しくなります。
まず、完済できなかったローン分は引き続き返済の義務が残ります。一番困るのは債権者がリースバックによる売却を認めないことです。

では、なぜ債権者がリースバックを認めないのか?その理由はシンプルです。
債権者としては、まず自分たちへの債権回収が最優先。リースバックを通して得られる売却金額が住宅ローンの残額を下回るとなると、その差額分を回収できる保証がなくなってしまいます。

また、リースバックによる売却金額は市場価格の60~80%程度になると説明してきました。
つまり、リースバックによる売却は任意売却よりも安価となります。こうなっては債権者の立場から見ると、不動産を安く売却しながら自身は住み続けられるようにしているため、印象も悪くなってしまいます。
そのため完済できない場合、債権者はリースバックに難色を示すことが予想されるのです。

リースバックを検討する際には、住宅ローンの残高とリースバックの売却見込み金額をきちんと確認し、計画的に進めていくことが大切です。

リースバックの成約事例

実際にあったリースバック成約事例とリースバックをした不動産を通常の市場価格で売却した際の価格をまとめてみました。
すべてのリースバック取引に当てはまるわけではないですが、リースバックを検討する際の参考にご覧ください。

東京都新宿区マンションの事例

通常の不動産売買時の売却価格: 5,200万円
リースバック時の売却価格: 4,000万円
賃料: 20万円/月
利回り: 6%

東京都江東区戸建ての事例

通常の不動産売買時の売却価格: 4,550万円
リースバック時の売却価格: 3,500万円
賃料: 15万円/月
利回り: 5.1%

東京都足立区マンションの事例

通常の不動産売買時の売却価格: 3,900万円
リースバック時の売却価格: 3,000万円
賃料: 12万円/月
利回り: 4.8%

神奈川県横浜市港南区戸建ての事例

通常の不動産売買時の売却価格: 5,000万円
リースバック時の売却価格: 3,900万円
賃料: 16万円/月
利回り: 4.9%

神奈川県川崎市戸建ての事例

通常の不動産売買時の売却価格: 4,800万円
リースバック時の売却価格: 3,700万円
賃料: 15.5万円/月
利回り: 5%

埼玉県大宮市戸建ての事例

通常の不動産売買時の売却価格: 3,600万円
リースバック時の売却価格: 2,800万円
賃料: 11.7万円/月
利回り: 5%

埼玉県さいたま市マンションの事例

通常の不動産売買時の売却価格: 3,750万円
リースバック時の売却価格: 2,900万円
賃料: 12.2万円/月
利回り: 5.05%

まとめ

今回はリースバックの売却価格相場と賃料設定の関連性についてお伝えするため記事にしました。
リースバックの売却価格の相場は存在しないものの、一般的な不動産売買における相場が基準となり、約60~80%程度になりやすいことがわかりましたね。
また、リースバックの際の賃料設定が売却価格と密接に関係していることもわかりました。
相場がなかったとしても、基本的にリースバックの売却価格と賃料設定は、買主と売主双方が納得のする金額であれば成立します。

注意点としてあげられていたのは債権者がリースバックを認めてくれるかどうかという点でした。
債務を完済できるか否かによって、債権者の判断も変わってくるため、特に競売を回避するためにリースバックの利用を検討する際は、買主、債権者、売主の3者が納得できる金額が出るかどうかがポイントになります。

任意売却ヘルプセンターでは、このように複雑な状況下でも債権者と交渉をすることによって、リースバックを成立させるプロが在籍しています。
競売を回避するために任意売却、リースバックを検討中の方は、ぜひご相談ください。 あなたの状況に応じてベストな解決策を提案、取引の成立を目指して共に動きます!

記事の執筆者

長井一記
長井一記 / 任意売却ヘルプセンター センター長

少年期に経験した競売と、不動産業界にて数多くの不動産売買に従事した経験から、少しでも多くの方を競売から救うことのできる「任意売却ヘルプセンター」を設立。
ご相談者さまに寄り添い、任意売却・リースバック・その他の解決手段で競売回避を実現します。

趣味:登山/ジム/地域ボランティア

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