離婚がきっかけで住宅ローン破綻に!?自己破産に追い込まれないための方法を紹介

離婚も自己破産に繋がるきっかけのひとつです。

性格の不一致や教育方針の違い、日々の生活の中でのすれ違いなど、共に生活をする時間が長くなるほど、積み重なってきた不満が離婚という形で表れます。
そのうえ、離婚が自己破産のきっかけにもなってしまうのですから、事前に自己破産にならないための対策が必要不可欠です。

今回は離婚をきっかけに住宅ローン破綻、ひいては自己破産に繋がってしまうケースをみながら、その対策を紹介していきたいと思います。

離婚には住宅ローンと自宅の問題がついてくる

まず離婚をするとき、必ず問題にあがるのが自宅と住宅ローンをどうするかについてです。
お金と住居に関する問題は生活基盤に大きく影響しますから、離婚をしたあとで右往左往することのないようにこれから解説するポイントを押さえておきましょう。

自宅は住み続けるか売却するかの2択

離婚をすると、これまで暮らしてきた家に一緒のまま住み続けることはほとんどありません。
誰が住み続けるのか、もしくは両方とも出ていくのかを決める必要があります。
両方とも出ていく場合は自宅に住む人がいなくなりますので、売却を検討することになるでしょう。
賃貸物件として貸し出すという方法もありますが、賃貸経営は難しく、赤字になる恐れや、入居者がいつまで経ってもつかないなんてことも起こり得るかもしれません。
どちらにしても数カ月の準備期間をみておく必要があります。

住宅ローンは誰が支払う?

住宅ローンの支払いが残っている場合、支払いは誰がするのかという問題も生じます。
住み続ける方が払うのか、主債務者(大方の場合は元旦那)が払うのか、あらかじめ決めておかないと後々に大きなトラブルにつながる恐れがあります。

よくあるケースでは、元妻が離婚を受け入れる代わりに元旦那に対して、住宅ローンの支払いを継続してもらうことがあります。
離婚にいたる事情はさまざまですので、金銭的な負担が大きくなりやすい住宅ローンの支払いをどうするのかは離婚前に協議し決めておく方がよいでしょう。

離婚後に忍び寄る自己破産の影

離婚をする前に、自宅や住宅ローンについての話し合いができていれば、自己破産に陥るような状態は回避することができます。
しかし、ほとんどの場合は離婚するまでに決めることができず、そのまま放置される方が多いです。
とくに、住宅ローンの主債務者が元旦那で連帯保証人になっている元妻が離婚後も自宅に住み続けているケースでは、重大な事態に発展する危険性があります。

元旦那の住宅ローン破綻

離婚後、自宅を出て行った元旦那は自身が居住する賃貸住宅と元妻が住み続けている家の住宅ローンの2重支払いをすることとなります。
また、子どもがいる場合は養育費が、不貞などが理由で離婚する場合は慰謝料の支払いなどが同時にのしかかってくることでしょう。

この負担に耐えられなくなり支払いが回らなくなってくると、元旦那にとって一番自身への影響がない住宅ローンの滞納が始まります。
1度滞納をすると滞納に対する抵抗が薄れてしまい、2度目3度目と繰り返していくうちに、半年が経過する頃には競売開始決定通知が届くようになります。
住み続けている元妻が気づくのもちょうどこの頃になるケースが多いです。

競売によって自宅が売却されてしまったあとも、売却代金が住宅ローンの完済に足りなければ、残った分の債務についても一括返済を求められます。

また住宅ローンの滞納のみにとどまらず、他の債務についても支払いが困難な場合は、競売による売却をまたずに自ら自己破産を進める方が多いのも事実です。

このように、一時的にでも金銭負担が増えることによって生活が立ち行かなくなり、それがきっかけで競売や自己破産に繋がってしまうケースは離婚後のタイミングがもっとも多いです。

離婚後の自己破産がおよぼす影響

住宅ローンの主債務者である元旦那が自己破産をしてしまった場合、自宅に住み続けている元妻と子どもの生活にも影響が出ます。

ここからはその影響にどのようなものがあるのかについて解説していきます。

住む場所を失う

自己破産をすると、不動産などの資産は換価の対象となるため必ず売却されます。
元妻と子どもが住んでいたとしても所有者が元旦那となっていれば、元旦那の資産として扱われるため自宅は売却され、元妻と子どもは住む場所を失ってしまいます。

その日のうちに路頭に迷ってしまうようなことはありませんが、元旦那が自己破産をしてから数カ月の内に自宅の売却が行われます。

引越しや転勤・転校手続きが必要な場合も

新しい住居を探して契約することにくわえて、引越し先によっては転職や転校などの大きなできごとに繋がる可能性があります。
実家など頼れるところが近くにあれば多少は負担が軽くなりますが、ない場合は手続きや手配などやるべきことが重なってしまいますので、自己破産の事実を知ったらすぐに準備を進める必要に迫られるでしょう。

元妻も自己破産の危機に?

自宅を購入した当初、住宅ローンを組む際に元妻が連帯保証人に入っている場合は、元旦那の自己破産と連動して自身も自己破産の危機に直面します。

元旦那の自己破産によって住宅ローンの回収ができなくなった金融機関は、連帯保証人に対して一括返済の要求をします。
連帯保証人は債務者と同じく債務を返済する義務がありますから、元妻は返済を拒否したり、できない旨の弁明をすることができません。
支払いに応じられない場合は、元旦那同様に自己破産という形で解決をするしかないのです。

このように責任重大である連帯保証人は離婚前にやめておきたいと考える方も多くいらっしゃいます。
元旦那が自己破産や滞納をする前であれば連帯保証人をやめるためのいくつかの方法があるので、次章で詳しく解説します。

連帯保証人をやめる4つの方法

連帯保証人をやめるための方法は4つあります。
いずれもやめる条件を満たす難易度は高く、基本的には1度連帯保証人になったら、自由にやめることはできないと心得ましょう。

住宅ローンを完済する

住宅ローンを完済することができれば、金融機関との契約も満了となりますから連帯保証人を設定する必要がなくなるため、事実上やめることができます。
ですがこの方法は完済するための大金を用意する必要があるという意味でも、もっとも困難な方法です。

債権者の合意を得てやめる

住宅ローンの支払い途中でまだ完済できていなかったとしても、金融機関の合意があれば実は連帯保証人はやめることができます。
しかし、金融機関側もビジネスとしてお金を貸し出しているわけですから、無条件に連帯保証人の解除を受け入れることはほとんどありません。
代わりとなる物的担保または人的担保を供与する必要があります。

代わりの連帯保証人を立てる

自身が連帯保証人をやめるための代わりとして供与できる物的担保(不動産や動産など)がない場合は、他の誰かに連帯保証人を代わってもらうことでやめることができます。

しかし、誰でも良いというわけではなく金融機関側が定める連帯保証人になるための条件を満たす人物である必要があります。
主債務者の近親者であったり年収制限があったりなど、これらの条件は金融機関によっても異なりますので、住宅ローンを組んでいる金融機関に問い合わせて確認しましょう。

住宅ローンの借り換えで連帯保証人を外れる

住宅ローンの借り換えは、今住宅ローンを組んでいる金融機関より低利率で貸し出してくれる金融機関に借り換えることで、支払総額を減らすことを目的として使用されます。

この際に、住宅ローン契約を解約し新たに契約をし直すため、連帯保証人を求められる場合には、その対象者を別の人物に変えることができます。
もちろん先に説明したように、連帯保証人になるための条件を満たす必要はありますので、あらかじめ連帯保証人の条件に適合しなってもよいという人物を探しておきましょう。

自己破産を未然に防ぐ方法

離婚をしたとしても、元妻や元旦那のどちらかが自己破産をしてしまえばその影響が互いにおよぶ可能性は高く、どちらも自己破産をしないことに越したことはありません。

そこで、自己破産を未然に防ぐ方法を5つ紹介したいと思います。

離婚と同時に自宅を売却する

自己破産やトラブルに巻き込まれる前に、自分のタイミングで自宅を売却することで計画的にリスクを回避できるようになります。

売却をするには、どちらも住み続けることはないという確認と残っている住宅ローンの金額の確認が必要です。
とくに残っている住宅ローンの金額によっては、不動産を売却する時の方法や手段が変わりますので注意しましょう。

1. 売却金額>住宅ローン の場合

不動産の売却金額が残っている住宅ローンの金額よりも高い場合は、なんの問題もなく不動産を売却することが可能です。
反対に不動産の売却金額が残っている住宅ローンの金額よりも低い場合はいくつかの問題が発生します。

2. 売却金額<住宅ローン の場合

不動産の売却金額が残っている住宅ローンの金額よりも低い場合、そもそも住宅ローンを組んでいる金融機関が不動産の売却を認めないため売却することができません。

金融機関が認めてくれないとなぜ不動産の売却ができないのかというと、住宅ローンを組んだ金融機関が不動産に抵当権を設定しているからです。

一般的に金融機関で住宅ローンを組む際には、万が一債務者が住宅ローンの支払いができなくなった場合を想定し、住宅ローンの対象となる不動産に抵当権を設定します。
抵当権が付いていると、抵当権者である金融機関がいつでも競売によって不動産を売却し、債権の回収ができる状態となりますから、不動産を売りに出すことはできても買い手が見つかりません。

なぜなら抵当権がついている不動産を購入した場合、仮に売主であった人物が金融機関に対しての住宅ローン返済を滞納すると、金融機関が抵当権を実行することによって不動産が競売にかけられ、強制的に売却されてしまうことになるためです。
このとき売買によって所有者は変わっていますが、抵当権は所有者が誰かによってその効力を失うことはないため、買い手としては抵当権がついている不動産を購入することがほとんどないのです。

任意売却なら住宅ローン残債が多くても売却可能

不動産の売却価格が、残っている住宅ローンの支払金額(住宅ローン残債)よりも低くても、金融機関に抵当権を外してもらい売却できるのが任意売却という方法です。

なぜ任意売却でそのようなことができるのかといえば、競売で強制的に不動産を売却した場合の売却価格が市場価格の約50~70%と低く、金融機関にとっても回収率が悪くできれば市場価格で売却したいと考えているためです。

そこで任意売却の専門家が債務者と金融機関(債権者)との間に入り、金融機関と交渉をすることで市場価格での不動産売却を実現します。
金融機関の承諾を得て不動産を売却するため、売却時には抵当権を解除してもらえますから買い手側のリスクもありません。

リースバックで契約者と居住者を正常な状態にする

住宅ローンの主債務者である元旦那としては、住宅ローンと自身の住居の家賃が重なるため家計が回らなくなります。
またこのように債務者と居住者が異なるような状態や、元旦那の負担が大きい状態が続くと、競売や自己破産に繋がる可能性が高まります。

住み続けている元妻側にしても、自宅を失ってしまうことが確定した状態で急な連絡が来るより、自分でリスクをコントロールできる状態が望ましいはずです。

そこで活用できるのがリースバックという方法です。

リースバックとは、不動産を売却したあとに賃貸契約を結ぶことで、自宅にそのまま住み続けることができるという方法です。
住宅ローンが残っており、抵当権が設定されている場合は任意売却と組み合わせることでリースバックもできるようになります。

たとえば元旦那名義の自宅を任意売却で売却します。
このとき買い手にはリースバック希望の旨を伝えておき、承諾いただける方に購入してもらいます。
その後、元妻が新たな所有者である買い手の方と賃貸契約を締結し、毎月家賃を支払う形で住み続けます。

これで自宅の売却後に住宅ローンの債務が残ってしまう場合でも、元旦那の滞納や未払いによって自宅を失う心配がなくなります。
また同様に旦那が自己破産をしたとしても、自宅を売られてしまうようなことはありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
なぜ離婚がきっかけになり住宅ローン破綻や自己破産にいたってしまうのか、その理由や背景がお分かりいただけたと思います。

離婚をして新生活を再スタートさせるときに、大きな不安が残ってしまうことがないよう今回想定されたケースで自身に当てはまるものがあれば対策の準備をしておきましょう。

とくに所有している自宅で住宅ローンが大幅に残っている場合は、任意売却の準備を進めることおすすめします。

任意売却ヘルプセンターでも随時相談を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。 離婚と不動産の売却がスムーズにできるよう、提携している弁護士とタッグを組んでサポートさせていただきます。

記事の執筆者

長井一記
長井一記 / 任意売却ヘルプセンター センター長

少年期に経験した競売と、不動産業界にて数多くの不動産売買に従事した経験から、少しでも多くの方を競売から救うことのできる「任意売却ヘルプセンター」を設立。
ご相談者さまに寄り添い、任意売却・リースバック・その他の解決手段で競売回避を実現します。

趣味:登山/ジム/地域ボランティア

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