競売を回避する方法3選!早期対応で競売は取り下げられる!

住宅ローンの滞納が数カ月続くと、ある日突然、裁判所から「競売開始決定通知書」という書面が届きます。
この通知書には競売の開始が正式に決定されたことが記載されており、何もしないままだといずれ自宅を失ってしまうことになります。

ではいったい何をどのようにしたら自宅を失わずに済むのでしょうか?
今回は、競売開始決定後からでも遅くない、競売を回避する方法3選を紹介していきます。
競売の開始が正式決定したあとでも競売を回避、取り下げる方法が存在するのです。

競売開始決定通知書とは?

「競売開始決定通知書」とはその名の通り、競売の開始が決定した旨が記載された通知書です。
住宅ローンの滞納や借金の返済が数カ月滞ると、債権者は裁判所に対して競売の申し立てを行います。
この申し立てが受理されると、競売開始決定通知書が郵送されることとなるのです。

競売開始決定通知書には競売の概要である、対象となっている不動産や管轄の裁判所、事件番号、当事者となる債権者および債務者の名称が記載されています。

競売開始決定後に取下げることは可能なのか?

競売開始が決定されると、その後の手続きは裁判所が進めるため自分の意思だけで競売を取り下げることはできません。どうしたらよいか分からず放置し続けた結果、競売が終わり落札されてしまった後で相談をいただくというケースも多くあります。

実は競売開始決定後であっても、開札期日の前日までであれば競売は取り下げることができます。ただし、競売を取下げるためには債権者の協力が必要不可欠です。
また開札期日の2週間前までしか競売の取下げを受け付けないなど、債権者によって対応が異なる点に注意が必要です。

債権者から競売取下げの承認を得るためには

債権者は債権の回収が困難だと判断した場合に競売の申し立てを行います。競売によって担保不動産を売却することで債権の回収を試みるためです。
つまり、債権者に対して債務の完済をすることができれば、競売を行う必要がなくなるため競売を取り下げてもらうことができます。

しかし大半の場合で、債務の完済をすることは現実的ではありません。数百万から数千万円もの金額を一括で返済することは、競売を申し立てられるに至った状況を考えると厳しいものがあります。

それではどのようにして競売を取り下げるための同意を債権者から得ればよいのでしょうか。
競売を取り下げるための方法を3つ紹介していきたいと思います。

競売を取り下げるための方法3選

債務の一括返済で競売の取下げを目指すことができない場合、基本的には債権者との交渉を通じて、完済に満たない金額での不動産売買を認めてもらい、競売の取下げを目指すことになります。

競売を取り下げる方法①任意売却

競売を取下げる方法としてもっとも有力で実現性の高い方法が任意売却です。
任意売却では、債権者の承認を得たうえで不動産の売買を行い、売買代金から債権者への返済を行います。
この際、債務の完済に満たない売買金額となることもありますが、債権者に対して事前に売買金額を伝えて承認を得ておくことで、不動産の売買を認めてもらうことができます。

完済できず残った債務は、不動産売却後も支払っていく必要がありますが、返済方法や期間・金額については相談に応じてもらえることがほとんどであるため、競売になってしまった時よりも、生活再建がしやすいというメリットが任意売却にはあります。

その他にも任意売却には多くのメリットが存在します。詳しくはこちらの記事で紹介しています。

関連記事:任意売却のメリット10選!任意売却を選ぶべき理由がすべて分かる

競売を取り下げる方法②リースバック

リースバックは任意売却を発展させた方法で、その最大のメリットは自宅に住み続けられる点にあります。
不動産を売却することにはなりますが、新たな所有者との間で賃貸契約を締結し、賃借人としてそのまま住み続けることが可能です。

ただし、不動産売買の代金が債務全額に届かず完済ができない場合は、債権者側がリースバック付の不動産売買を認めないことが多いです。
なぜならば、リースバック付の不動産売買は通常の不動産売買に比べて売買金額が低くなりやすく、本来債権者側が得られたであろう利益がリースバックという形で債務者側に偏り、債権者としては納得できないという気持ちが生じるためです。

ですので、リースバックを希望する場合は、債務の完済または限りなく完済に近い金額の返済ができるよう、不動産売買の金額を上げる努力と、足りない場合は自身で補填するための資金調達を行い、リースバックを成立させる可能性を高める必要があります。

競売を取り下げる方法③不動産担保ローン(融資)

競売を申立てられている不動産に十分な担保余力が残っていれば、新たにその不動産を担保として融資を受けられる可能性があります。融資を受けた金額で債権者への返済ができれば、競売を取り下げてもらえることでしょう。

一般的に不動産に十分な担保余力が生じるには、住宅ローンの支払いを初めてから20年ほど経過していることが条件のひとつとして挙げられます。

不動産担保ローンを利用する際の注意点として、債務の増加があります。
不動産を担保にお金を借りるわけですから、毎月の支払いに不動産担保ローンの分が加わることになります。
そのため、一時的に競売を回避することができたとしても、返済能力が回復しない限り今度は不動産担保ローンを組んだ会社から競売の申し立てを受ける危険性があります。

競売を取り下げる方法 番外編 個人再生(住宅ローン特則適用)

住宅ローン以外の借入等で競売を申立てられる前であれば、個人再生という方法をとることができます。
個人再生とは、債務整理の方法のひとつで、債務の総額に応じて最大10分の1まで債務を圧縮することのできる方法です。

また最大の特徴である住宅ローン特則を適用すると、住宅ローンだけを除いた債務を圧縮の対象とすることができます。
ですので、住宅ローンの支払いは継続できるが、他の借入の返済が難しいという状況に陥っている方は個人再生を行うことで、債務の圧縮とご自宅を守ることが期待できます。

競売の流れ

競売を取り下げるためには、債権者からの承認を得るほかにタイムリミットを気にしなければなりません。
競売の取下げはいつまでであれば可能なのか、競売の流れを見ながら確認していきましょう。

競売開始決定通知書が届く

住宅ローンや消費者金融からの借入など、毎月の返済が滞り始めて約6カ月が経過する頃、債権者が競売を申し立て、裁判所が認めることで競売開始決定がなされます。

ご自宅に競売開始決定通知書で届くことで初めて競売になった事実を知ることになりますが、この日からおおよそ3カ月後には開札となるため、競売取下げに向けて活動できるのも実質3カ月程度となります。

現況調査が来る

競売開始決定から1~2カ月の間で現況調査が実施されます。
現況調査では裁判所の担当執行官と不動産鑑定士が訪れ、土地や自宅、近隣状況の調査を行います。
最終的にはこの現況調査の結果をまとめた3点セットと呼ばれるレポートが入札希望者に向けて公開されることとなります。

期間入札の通知書が届く

現況調査報告書、評価書、物件明細書の3点セットが完成すると「期間入札の通知書」と呼ばれる入札期間を示した書面が届きます。
期間入札の通知書には入札期間、開札期日、売却基準価額などの競売実施における情報が記載されており、この書面を見ることで正確なタイムリミットが判明します。

入札期間(タイムリミット①)

入札期間は約1週間が設けられており、入札希望者はこの期間にいくらで購入したいのかを入札していきます。
そして、この入札期間が始まる前日までが1つ目のタイムリミットです。
タイムリミットには2種類があり、1つ目は債権者が提示するタイムリミットで2つ目は裁判所が提示する競売のルールとして定められているタイムリミットです。

ほとんどの債権者は、入札期間が始まる前日までを競売取下げのタイムリミットとして提示します。
その理由は、債権者側での社内調整や取下げに必要な書類を準備するため一定の時間を要するからです。
ですので、純粋に債務を完済する場合や任意売却による売買代金での返済など、どのような形であれ入札期間の前日までに取引をまとめておかなければならないのです。

開札期日(タイムリミット②)

開札期日は入札期間中にあった入札を開封し、落札者を決定する期日のことです。
裁判所が提示する競売の取下げ期日はこの開札期日の前日までとされています。 これが2つ目のタイムリミットです。

しかしここまでに解説した通り、競売の取下げには債権者の承認と協力が必要であるため、2つ目のタイムリミットに間に合うようにするためには、1つ目のタイムリミットを守る必要があります。

支払いの滞納から競売による開札後までを網羅した全体の流れは、こちらの記事で解説しています。
関連記事:不動産競売の流れと恐ろしいデメリットとは?

競売を取り下げるべき理由

競売を取下げる方法と取下げのタイムリミットを解説してきました。
なぜ、ここまでして競売は取り下げた方がよいと言われているのか、いまいちど競売を取り下げるべき理由についても解説したいと思います。

競売を取り下げるべき理由①市場価格より安く売却されてしまう

競売で不動産が売却される場合、一般市場で売却する時と比較すると、市場価格の約50~70%と売却価格が低くなる傾向にあります。
本来3,000万円で売れたはずの不動産が競売では1,500~2,100万円にしかならないようなイメージです。

一般的な不動産売買に比べ、競売に参加して落札することはハードルが高いため、入札希望者が少なく、競争による入札価格の上昇が期待できないというデメリットがあるのです。

競売を取り下げるべき理由②競売費用が上乗せ

債権者は競売の申し立てを行った際に、裁判所に対して予納金等の競売にかかる費用の支払いをしています。
しかし、これらの費用負担は一時的に債権者が立て替えているだけであるため、最終的には債務者に請求されることになります。
費用の総額は債権額によって異なりますがおおよそ100万円~150万円が、競売になってしまったことによって自身の債務に上乗せされてしまうことになるのです。

このように不動産は市場価格より安く売却されるだけでなく、余計な債務も上乗せされてしまうことなどから、競売は取り下げるべきだと言われているのです。
競売で負担させられてしまう費用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:え、競売の費用は債務者が負担?実際にかかる競売費用を紹介

まとめ

いかがでしたでしょうか。
競売を回避し、取り下げるための方法を3つ紹介してきました。
どの方法も共通して債権者の承認と協力が必要となりますが、それぞれ異なる特徴がありました。

1つ目の任意売却は、市場価格で不動産を売却し可能な限り債務の完済を目指す方法でした。
仮に完済ができなかったとしても、残った債務の支払方法や金額、期間については債権者と話し合い無理のない形に落ち着けることができます。

2つ目のリースバックは、任意売却を行ったのちに新たな所有者と賃貸契約を締結することで自宅に住み続けられる方法でした。
リースバックに応じてくれる買主を見つけることと、債務が完済できない場合は売買金額について債権者の納得が得られるかなどのハードルがあることが注意点です。

3つ目の不動産担保ローンは、所有している不動産を担保に借入を行い、債権者に返済をすることで、競売を取り下げてもらう方法でした。
自宅を売却する必要がない点において、任意売却やリースバックと大きく異なります。

一方で、不動産に十分な担保余力がない場合はたとえ借入ができたとしても、債権者に返済すべき金額に届かず、競売を取下げてもらえない可能性があります。
また、一時的に競売の取下げができたとしても、今度は借入をした金融機関に対して毎月返済を行っていく必要があります。

競売を申立てられていて不安や焦りがある状態では、自身の状況に応じて任意売却、リースバック、不動産担保ローンのなかでどれが最適なのか判断をすることは難しいかもしれません。

任意売却ヘルプセンターでは、ご相談者さまの状況と希望をヒアリングし、最適な形での解決方法をご提案しています。
競売の解決は時間との戦いでもありますので、ひとりで思い悩まずお気軽に当ヘルプセンターまでご相談ください。
24時間365日相談を受け付けていますので、お電話、メール、LINEのいずれか連絡のしやすいやり方でご相談いただくのをお待ちしております。

記事の執筆者

長井一記
長井一記 / 任意売却ヘルプセンター センター長

少年期に経験した競売と、不動産業界にて数多くの不動産売買に従事した経験から、少しでも多くの方を競売から救うことのできる「任意売却ヘルプセンター」を設立。
ご相談者さまに寄り添い、任意売却・リースバック・その他の解決手段で競売回避を実現します。

趣味:登山/ジム/地域ボランティア

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